5月12日(日)、東五反田地区自主防災組織(長友万蔵会長)は、南海トラフ巨大地震に伴う大津波来襲を想定した避難訓練を実施した。
本地区は毎年5月に津波避難訓練を実施しているが、今回の訓練は、昨年度作成した「個別避難計画」に基づく避難支援要領の検証を大きな目的として実施された。
当地区は南海トラフ巨大地震が発生した場合、30分足らずで津波が押し寄せる津波浸水想定区域となっており、地震の揺れが収まった後、避難タワーまでの速やかな避難が求められている中にあって、高齢独居の避難行動要支援者(当地区に5名の対象者)の避難が大きな課題となっている。
午後1時30分、雨の降りしきる中、消防団(第11部)の消防団車両による巡回広報を合図に避難を開始した。
地区住民が一斉に避難を始める中、避難行動要支援者の避難支援については個別避難計画に示された地域支援者が、自身の避難途上にある要支援者の居宅に立ち寄り、避難の声掛けをするとともに、歩行介助や車いす介助を行いながら津波避難タワーに向け歩を進めた。
強めの雨が降り足元も悪い中、全員が20分以内の避難を果たした。
避難タワーに集まってきた避難者は子供を含む総勢53名で、雨の降りしきる中、予想外の参加者の多さに驚いた。
参加者の表情は雨の中にあってさえ、いずれも明るく笑顔さえうかがうことができた。交わす言葉に「久しぶりじゃねー」「元気しょったー」と普段顔を合わす機会が少なかったのであろう住民間の相手を思いやる言葉が胸に刺さった。
今回の訓練は多くの気づきと今後に繋がる大きな教訓を得るものであった。
その中で最も印象に残ったのは、言葉ではよく聞くが「地区での助け合い、繋がりが命を救う」ということを目の当たりにしたということだった。
そして、個別避難計画は確実に機能するということだった。
ただし、どんな有効と思われる計画も、訓練、検証を重ねアップデートしていかなければ、いつの間にか陳腐化し、いざというときに役には立たないものとなるだろう。
今後、個別避難計画作成、訓練の実施を重ねながら地域防災力の向上に努めていかなければならない。
ただ、計画の作成や訓練を実施する行為自体が本来の目的ではないと考えている。
計画作成の過程で人と人が繋がり、訓練の実施により人が集まり同じ地区
(地区外も含め)住民の顔の見える関係を構築し、より大きな人と人の繋がりが生まれ、地域コミュニティーが活性化していくこと。そのことが、地域の基盤的防災力を高める最大の方法であると確信している。
それが叶えば、「災害発生…犠牲者、ゼロです。」も夢ではないような気がする。
記述:危機管理専門員
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