「わけもんの主張」宮東大会(宮崎市・国富町・綾町)は1月20日、宮崎公立大学講堂で行われました。綾町からは綾町教育委員会の安藤由貴さんが出場し、選挙や社会制度に対する考えを発表しました。
◆無関心から「志ある投票」へ
友達と話しながら商店街を歩く。人だかりが見える。そこは、人がたくさん行き交っているのに、しーんとした緊張感のある空間だ。係員に誘導されるまま進み、銀色のパネルに仕切られた記入台に立つ。鉛筆を握る。そしてなんとなく決めた、よく知らない候補者の名前を書く。商店街に出ると、何事もなかったかのようにまた友達と話ながら歩く。
これが私が初めて投票をした時の記憶です。当時の私は高校生。先生方の「初めての投票を、まずは経験してみなさい」という言葉に推され、とりあえず足を運んだ選挙でした。選挙や政治のニュースは毎日耳に入ってきます。中学・高校時代から、政治や投票が大切であるということは授業で学んでいます。けれども、投票に行き自分の考えを表明するということが、自分自身にとって大切なことであると認識するのはなかなか難しいのが若者の現実ではないでしょうか。
私が選挙や社会制度に関心を持ったきっかけは何だったのか。記憶をたどってみると、大学時代にかかわった綾町のプロジェクトが浮かんできました。
そのプロジェクトは、綾町と大学が連携して、山間地域の小規模集落で昔の暮らしぶりや現在行われている地域活動、将来の不安などを聞き取り調査し、集落を維持していくためにできることを住民と行政がともに考え実践していくための「集落ビジョン」を作るというものです。
集落の人たちと話をする中で、「運転免許を返納しても外出支援バスがあるから助かるわ」「高齢者が多くなって若い人があまりおらんから、地区のまつりや清掃が続けられなくなって困る」「地域のリーダー育成を行政に助けてもらえんか」といったさまざまな不安や要望があることを知りました。そこで初めて、社会制度がどれだけ私たちの暮らしに関わっているかということに気が付いたのです。
さらに、昨年の春に地方公務員という仕事に就いたことで、選挙や社会制度に対する関心が一気に高まりました。
地域の人たちと顔を合わせ「感染症が流行していた間に地域活動を自粛していたから、地域の元気がなかなか戻らない」「物価が高騰していて生活が苦しい」「子育てをもっと支援してほしい」というような声を聞くようになりました。
さらに、毎日のように職場の上司や先輩方がどんな町の未来を描くか、どんな取り組みをすれば地域が持続し、子どももお年寄りも安心して暮らしていけるか議論している姿を見るようになりました。
いま私は、政治や政策というものが私たちの生活、仕事、さらには未来に大きく影響するものなんだと実感できています。そこで、道普請に参加している若手職員と政策や制度について議論する場を設けることを提案しようと考えるようになりました。
道普請とは、住民自らが道路を作ったり道路周辺の環境整備を行ったりするという昔からある取り組みで、現在、綾町内では広沢集落でのみ年に数回行われています。
私は道普請に参加して、住民とともに汗を流しながら集落の暮らしぶりや住民の思いに触れることで、「この人たちのために仕事をしたい」という気持ちが芽生えました。道普請は、政治や選挙を自分ごととして考えられる絶好の機会になる。この取り組みの意義を周囲に広く伝えていくことで、町の将来を考える人を増やしていけるのではないか。そう考えています。
生活をより良いものにするためにもっと社会の仕組みを、政治を知りたい。自分や大切な人たちの生活や将来を見つめ、よりよい社会とはどういうものか考えて「志ある投票」をしたい。そのために私は行動していきます。
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