■「裏通り」
鱸 利彦 作(1956年)
作者の鱸(すずき)利彦(1894~1993)は千葉県に生まれ、幼少期に宮崎県に移住。旧制県立宮崎中学在学中に水彩画に触れると、その才能を当時の県知事に見出され、東京美術学校(現在の東京藝術大学)西洋画科に進学しました。晩年までふるさと宮崎の風景を描いた鱸は、1990年に県文化賞を受賞しています。
19世紀末以降、印刷技術の発展や消費社会の到来に伴い、芸術性の高い広告ポスターが数多く制作されました。静かな街角に差した陽光が塀に張り出されたそのようなポスターを色鮮やかに照らし出し、裏通りに明るさをもたらしている本作。鱸の特徴である重厚で温かみのある筆致(ひっち)で描かれています。
問い合わせ:市立美術館
【電話】25-1447
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