都城市立美術館 vol.65

31／41

■「ひととき」
奥野 末子　作(1993年)

第41回都城市美術展(1993年)で特別賞を受賞した本作。特に注目すべき点は、淡く繊細な色彩です。透明水彩絵の具を用いて、黒色をほぼ使用せずに淡い色調で統一することで、モデルが生み出す静かで穏やかなひとときの様子を捉えています。
透明水彩絵の具は、塗り重ねることで複雑な色味を表現できる一方で、扱い方によっては色が濁りやすいという特徴があります。本作品のような柔らかく透明感のある色味を出すためには、絵の具を塗り重ねる順番をあらかじめ考えておく必要があります。
豊かな感性や確かな技術力、絵画に対する情熱が発揮された1枚です。
※第69回都城市美術展は9月16日(土)～10月1日(日)に開催予定

問い合わせ：市立美術館
【電話】25-1447