■「街」
川崎 毅 作(1994年)
小さな箱が組み合わさったような造形が、都市の風景を思い起こさせる本作。本市出身の陶芸家・川崎毅(つよし)(1942~2023)は、都城泉ヶ丘高校在学中に、当時美術教師だった画家・野口徳次に影響を受けます。野口が手作りした電灯のかさやせっけん入れを目にして「形や構造の明快さがくっきりとしていて、何かを作るというのはこういうことだと感じた」と川崎は語ります。
工業デザイナーを志して東京藝術大学へ進学するも、土の手触りに惹(ひ)かれて陶芸に専念し、器の形に留まらない新しい「陶の表現」を模索。80年代以降は、「街」や「匣(はこ)」と題する立体作品を制作しました。川崎が生み出した懐かしく静かな佇(たたず)まいの作品には、若き日に得たものづくりへの姿勢が感じられます。
問い合わせ:市立美術館
【電話】25-1447
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