■「黒い壷(つぼ)」
永江明夫 作(1987年)
鹿児島県奄美市(旧名瀬市)に生まれた永江明夫(1915~2008)は、大学卒業後程なく出征。終戦後、シベリア抑留(よくりゅう)を経て帰国し本市に移り住んだ永江は、義父の東郷治秋(はるあき)とともに、大島紬の工房である東郷織物を運営しました。
紬を生産する傍ら50代から絵を始めた永江は、美術グループ「城美会(じょうびかい)」にも参加し才能を発揮しました。大胆にデフォルメされた花や人物で、見る人をおおらかで自由な気持ちにさせる作品を描いた永江。本作は、黒・オレンジ・緑のユニークな色の対比から「色こそ感情の直接表現」と語る永江の豊かな創造性が感じられます。壺に生けた花々を「叩き」という絵具の凹凸を残した筆使いで描き、生活を彩る花々のエネルギーを表現しています。その感性は織物のデザインや素材の探求にも発展し「現代の名工」に選定されるなど、高く評価されています。
問い合わせ:市立美術館
【電話】25-1447
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