■「梅二題」
山内 多門 作 (1917年)
雪をかぶった梅の木が寒さにじっと耐える姿と、穏やかな日差しの中で咲き誇る姿を、2枚1組で表現した本作。
作者の山内多門は、明治から昭和初期にかけて活躍した本市を代表する日本画家の一人です。自然の景観を描く山水画を得意とした多門は、墨の魅力である濃淡の豊かさを巧みに使い分けた作品を数多く残しました。
背景いっぱいの薄墨で冬の薄暗い空を表し、雪の白さをより際立たせた「凌寒(りょうかん)」と、白くかわいらしい梅の花が満開に咲き誇る姿と木の表皮の黒々とした力強い様を描いた「迎春」には、多門の技巧が存分に発揮されています。
段々と寒さを増すこれからの季節にふさわしい趣を感じさせる本作は、厳しい寒さの冬から暖かな春へと季節が移ろうストーリーも想像させます。
問い合わせ:市立美術館
【電話】25-1447
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