■「平重盛諫言(かんげん)之図」
大野重幸 作 (1955年)
本紙4月号でケシの花を描いた作品を紹介した日本画家の大野重幸。今月は、花鳥画や風景画を多く残した大野の作品としては珍しい、歴史を題材とした作品を紹介します。
本作では「平家物語」でも語られる、平重盛が父・清盛をいさめる場面が描かれています。また、建物の屋根や天井にあたる部分が描かれず、室内の人物の様子が見える独特の空間表現が用いられています。建物の一部を取り払いその内部を俯瞰図(ふかんず)で捉える吹抜屋台(ふきぬきやたい)という描法は「源氏物語絵巻」などの絵巻物に多く用いられました。人々の振る舞いや部屋のしつらえ、鮮やかな着物などが見る人の目を楽しませ、物語の世界へといざないます。
※本作は6月23日(日)まで開催中の収蔵作品展「空間知覚」で展示しています
問い合わせ:市立美術館
【電話】25-1447
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