■「渓村の雪」
山内多門 作(1917年)
雪がこんもりと降り積もる山間の風景。里山の四季を4枚1組で描いた「四季山水」のうちの一作です。
力強い作風が高く評価されている作者の山内多門。本紙令和6年12月号では、梅の木の生命力あふれる様子を力強い筆づかいで表現した水墨画を紹介しましたが、作品によって筆致を変える高い画力を持つ多門は、本作のように穏やかな空気感が漂う山水画も数多く残しています。
全体に薄い墨を用いて、細い輪郭線と柔らかな濃淡で、ほのかに白く輝く雪の質感を繊細に表現した本作。橋を渡る人の笠(かさ)や蓑(みの)は雪をかぶっていて、長い山道を歩いてきたようです。真っ白な景色の中にたたずむ民家が、この人物を迎え入れる家のぬくもりを想像させる作品です。
※本作は現在開催中の収蔵作品展「Home」で展示
問い合わせ:市立美術館
【電話】25-1447
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