◆実りを守る
町の鳥獣被害対策では、猟友会や鳥獣被害対策実施隊が活躍しています。
ここでは、現場の生の声を紹介します。
◇自然や畑の守り手 町猟友会員
猟友会は、日本全国にある狩猟愛好者の組織で、狩猟に関する活動や自然保護に取り組む団体です。
狩猟活動のほか、野生動物の適正な管理や保護、狩猟者の技術向上、安全指導など、活動は多岐にわたります。
入善町猟友会には現在、32人の会員が所属。会員たちは狩猟期に山や河原などで銃や罠を使った狩猟活動を行います。また、定期的に射撃場での訓練や捕獲大会を開催し、捕獲技能の向上を図ります。
加えて、有害鳥獣被害削減のため、地域の有害鳥獣対策のアドバイザーを担います。
そのほか、同会が山中に植えたクリやドングリなど、野生鳥獣のエサになる実(み)のなる木の植樹や手入れを実施。キジを放鳥し、自然界での繁殖を促す活動も行っています。
◇新たな仲間の入会募集中
入善町猟友会
会長 岡本 諭(さとし)さん(新屋)
町猟友会には、20年以上前に、友人の誘いで入りました。狩猟期には、会員とチームを組んで山や河原での狩猟を行います。
その一方で、約20年前から、山中に植えたクリやドングリのなる木の手入れを行い、野生鳥獣が人里に降りて来ないようにする植樹活動を継続して実施。人間と野生鳥獣の共存を目指した環境づくりを続けています。
長年の活動の中で変わってきたのは、近年入善の山中でシカやイノシシが増えていること。降雪量の減少で移動しやすくなり、近隣の山から入り込んできているのではないかと考えています。令和元年にイノシシ、令和2年にクマの目撃情報が出たとき、私たちが出動することで地域の皆さんに安心してもらえたことが印象に残っていますね。
猟友会の今後の課題は、新規入会者をいかに増やすか。会員は緊急時の駆除や山中の環境保全の担い手として不可欠な存在です。入会してもらえれば、射撃の訓練や山に入ったときの行動など、会員が丁寧に指導します。
狩猟や射撃に興味のある人は、ぜひ一度お声がけください。
猟友会では会員を募集中です。狩猟に興味のある人はご連絡ください。
問い合わせ:がんばる農政課 農政係
【電話】0765-72-3812
◇鳥獣対策のエキスパート 町鳥獣被害対策実施隊員
町では、令和3年から、猟友会員のうち3年以上活動している人の中から選抜して、町鳥獣被害対策実施隊員に任命しています。
同隊員制度の導入は、令和元年のイノシシによる人身被害や、令和2年の春日地内でのツキノワグマの出没と、人里でのイノシシ・クマの出没や目撃が相次いだことがきっかけです。それまで、獣の出没時は町猟友会に委託して捕獲にあたってもらっていましたが、危険が伴うにも関わらず、活動は会員の自己責任でした。そこで町は、活動対象を一定の経験がある人に限定、非常勤公務員としての身分を保障する町鳥獣被害対策実施隊員制度を導入し、捕獲体制の強化を図りました。
同隊には現在、21人が所属。有害鳥獣の出没時の捕獲活動のほか、4月~7月のカラス等捕獲パトロールをはじめとした活動を通して、有害鳥獣被害の減少に尽力します。
有害鳥獣対策には、長年の経験で培われた知識や技術を有するエキスパートである実施隊員の協力が不可欠です。
◇まず自助努力で被害防止を
入善町鳥獣被害対策実施隊
隊長 田中 吉春(よしはる)さん(中沢)
15年以上前、自宅の目と鼻の先の空き家にクマが出没したことに衝撃を受け、自身や家族の身を守るために、農業を営むかたわら、猟友会への入会を決めました。当時、耕作放棄地が増えていたこともあり、農地を守る活動の意義を感じました。
町鳥獣被害対策実施隊の主な活動は、捕獲罠の管理や定期的なパトロール、農作物などの被害が出た際の聞き取りと対策の実施。危険な野生鳥獣の出没時はその駆除に当たります。
駆除の際は、人身被害を出さないことを最優先で活動しており、同隊の結成以降、隊員・住民共に被害は出ていません。今後もチームで安全を確保しながら有害鳥獣の捕獲という重大な役割を担って行きたいですね。
町内では、サルやカラス、イノシシのほか、ハクビシンやタヌキなど農作物に被害を及ぼす有害鳥獣が多いです。有害鳥獣で困っているときは、役場や実施隊にお知らせください。
また、皆さんには自助努力として、除草や放任果樹の処分など、ご自身でも被害の防止を図るようご協力をお願いします。
有害鳥獣の捕獲には、原則として許可が必要です。
自分の農地でも、許可なく捕獲はできません。
○(株)staygold てらだファーム
寺田 晴美(はるみ)さん
(吉原)
入善ジャンボ西瓜は、カラスによる食害がよく起こります。鷹を模した凧を吊るしたり、空中に糸を張ったりして対策しますが、それでも被害に遭うことも。
実施隊の人に追い払ってもらうと、その後ピタリと止むので感謝しています。ハクビシンによる被害も多いので、そちらの対策も教えてもらいたいですね。
○舟見地区区長会長
村田 貞夫(さだお)さん
(舟見)
舟見地区では、住民が協力して、サルやクマ、イノシシ除けの電気柵を設置しています。週1回の見回りや2か月に一度の草刈りと、みんなでこまめに管理しますが、イノシシに壊されてしまうこともあります。柵の修理や増設など、猟友会の人のアドバイスを聞きながら、効果的な対策を続けていきたいですね。
問い合わせ:がんばる農政課 農政係
【電話】0765-72-3812
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