■隊梶内隊員(就農関係)
「地域おこし協力隊」の梶内です。十数年手付かずだった耕作放棄田を昨年開墾し、田んぼに作った苗代で苗の成長を見守る日々を送っております。鳥の囀(さえず)りを聴きながら、朝靄(あさもや)に滲(にじむ)む朝陽を浴びる時間は本当に心地の良いものです。この原稿を読んで頂く頃には、しっかり育ってくれた苗を田んぼに植えつけていることと願いながら筆を進めています。僕の田んぼには沢山の人が訪れてくれます。とりわけ我が集落の区長さんは、かつての集落の様子や米づくりのこと、山の動植物や二十四節気についてまで、来る度に興味深い話をしてくださいます。区長さんの話を伺っていると、農作業を中心とした生活が季節や祭りと密接に関係していたことを実感します。生活の中心には自然に対する畏(いふ)怖の念があり、人と自然(八百万(やおよろず)の神)の間に祭りや物もののけ怪の存在がある。「遠野物語(柳田國男)」の世界が少し身近なものとして感じられます。今年初めて、集落の「祈年祭(きねんさい)」にも参加しました。祝詞(のりと)と神饌(しんせん)・玉串を捧げ、直会(なおらい)の席では、集落の獅子頭を見せてもらいながら、集落の祭りと夜店や映画も来たという、かつてのその賑わいをお聞きしました。農林課内で獅子舞について話題にすると、「うちの地区では…」と獅子舞の話しで盛り上がる姿が羨ましく、昨年実際に観た“松尾神社の獅子舞”の感動を思い出しながら「我が集落でも、もう一度獅子舞を」と改めて思いました。横浜で獅子舞といえば中華街です。爆竹とともに獅子舞が店々を廻ります。趣きは全く違いますが、人が溢れ活気と躍動感に満ちた中国式の獅子舞もぜひ一度ご覧頂きたいです。昨夜は“鵺(ぬえ)”と梟(ふくろう)がよく鳴く夜でした。田んぼには、タシギや百舌鳥(もず)なんかも姿を見せてくれています。
@oyabe_satoyamalife
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