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続・ひみ未来遺産「第18回 上久津呂中屋遺跡のイルカ形土製品」

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富山県氷見市

◆〜縄文人とイルカ漁〜
10月20日(金)から博物館で開催する特別展「うらぐわし布勢水海―十二町潟の考古と民俗―」では、富山県埋蔵文化財センターが所蔵する氷見市関連の資料も展示します。その一つが、今回紹介するイルカ形土製品です。布勢水海(ふせのみずうみ)(現在の十二町潟)がまだ海だった頃、入り江の奥に営まれた貝塚が、上久津呂中屋遺跡です。県内最古の貝塚であり、縄文時代早期末(約6500年前)から晩期(約2400年前)までのたくさんの土器や石器、骨などが見つかっています。このイルカ形土製品も、それらに混じって出土しました。
全長11・2cm、手のひらに収まるくらいのサイズで、粘土の塊からイルカの口先と尾ビレをひねり出して作られています。上久津呂中屋遺跡では、マイルカを中心に、カマイルカ、ハンドウイルカなどのイルカ骨も多数見つかっています。イルカ形土製品は、そのうちのマイルカをモデルにして作られたのではないかと考えられています。イルカを模した土製品の出土は本州では初めてで、貴重な資料です。
市内では、同じく縄文時代の朝日貝塚や大境洞窟住居跡でも、イルカの骨が出土しています。この時代、氷見に住む縄文人たちは積極的にイルカ漁を行い、イルカを大切な食料としていました。おそらく、丸太をくりぬいて造られた丸木舟で入り江に追い込んだり、槍やりや銛もりなどで突いたりして捕獲していたのでしょう。イルカ形土製品には、イルカ漁の豊漁を願う縄文人の祈りが込められているのかもしれません。
イルカ形土製品をはじめ、上久津呂中屋遺跡や中谷内遺跡など布勢水海周辺遺跡の出土資料の里帰り展示を実施する特別展、ぜひお見逃しなく。
(博物館主査 廣瀬 直樹)

問合せ:博物館
【電話】74-8231

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