地域おこし協力隊として令和3年6月1日に着任した重田真佑(しげたしんすけ)さんが、7月31日に卒業しました。重田さんから活動の振り返りと、これからの意気込みを語ってもらいました。
冷暖自知。体験しなければ何事もわかりません。3年前の私には、葛と藤の区別もつきませんでした。
山に入り、藤や竹を切る。その採取した材料を加工する。そして、それらを合わせて一つの藤箕(ふじみ)を作る。その全てが私にとっては新鮮な経験でした。特に、師匠である論田・熊無藤箕づくり技術保存会の坂口会長の許可をいただき、2年目の秋頃から、一人で能登の里山に入り、藤を採取していた時のことが強く思い出されます。秋の長閑な里山でクマにおびえつつも、無我夢中で藤を切り抱え、それを細い藤の皮で束ねる。時にはその斜面から転げ降りることもありました。汗だくになりながら日を浴びて休憩していると、ふと童心に帰り「ああ、世界は輝いている」と思う日々が多々ありました。
藤だと思って喜んで刈ったら全てが葛だったこともあります。山に入らねば葛も藤も見分けがつきません。藤箕の製作技術の継承を通じて数多くの経験を得たことは、私にとっての一生の財産です。今後も熊無地区との御縁を大切にして、継承活動に引き続き携わっていければと願っています。
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