◆〜能登半島地震に伴う文化財レスキュー(4)〜
文化財レスキューの対象となる文化財には、美術工芸品や古文書、生活・生業に用いる道具類など多種多様なものがありますが、古写真もそのひとつです。今年の1月以来、多くの被災家屋から文化財をレスキューしてきましたが、その中には古いものでは明治40年代ごろから、昭和40年代くらいまでの古い写真帖もいくつか含まれています。
博物館では、これまでも写真帖を寄贈いただいたり、複写させていただいたりしながら古写真の収集に努めてきました。写真は、その写真が撮影された時代の人や物、風景、街並みの様子、日々の暮らしの有りよう、それらの変遷を現在の私たちに教えてくれます。いわば写真そのものが、かけがえのない文化財なのです。
文化財レスキューで集まった写真の多くは家族写真や記念写真ですが、中には大正から昭和初期頃の氷見地域に所在した尋常小学校や高等小学校の卒業写真も複数ありました。その他、東京都大森区(現、大田区)から氷見に来ていた疎開児童の記念写真や、防空訓練の写真など、戦時中の氷見を知る手がかりとなる写真も含まれています。また、昭和初期ごろ撮影された唐島の写真を見ると、樹木が繁茂しておらず、岩塊は露わで、今とはだいぶ印象が異なります。見慣れた風景がかつてはどうだったのか、現代の我々が知ることができるのも古写真の持つ価値と言えるでしょう。
文化財レスキューで寄せられた古写真の整理作業はまだまだこれからです。どんな写真があり、どんなことが分かったのか、折に触れて紹介していきたいと思います。
(博物館主査 廣瀬 直樹)
問合せ:博物館
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