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次世代につなぐ うなづき100年ヒストリー

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富山県黒部市

◆月光荘の「旅するピアノ」
黒部市芸術創造センター・セレネに、1930年代半ばに製造されたグランドピアノがあります。東京・銀座で絵具など画材を扱う月光荘から寄贈されたものです。
上市町出身の故橋本兵蔵さんが創業した月光荘は、歌人与謝野鉄幹・晶子夫妻が名を付け、多くの文化人がグランドピアノなどを演奏して楽しむ店でもありました。
太平洋戦争が激しくなる中、月光荘は宇奈月に疎開、工場と自宅を構えました。橋本さんは宇奈月を若い画家たちの理想郷にしたいとの夢も描き、滞在する部屋を設け、一緒に持ってきたピアノも置かれました。のちに日本の洋画界を背負う作家たちがしばしば訪れたと伝えられています。
1946(昭和21)年5月、宇奈月が大火に見舞われた際、焼失を免れた月光荘は、内山小学校宇奈月分教場の子どもたちのために自宅を開放、このピアノを使った授業が行われたというエピソードも残っています。
このあと月光荘は東京に戻り、銀座で再開しました。ピアノも店に置かれた時期もありましたが、2017(平成29)年月光荘百周年を機に黒部市に寄贈され、宇奈月に帰ってきました。高志の国文学館に貸し出されたりもしましたが、戦中・戦後と現代、東京と宇奈月をつなぐ「旅するピアノ」なのです。白鍵に象牙が使われているピアノはいまも現役です。皆さんも弾いてみたらいかがですか。

文・宇奈月温泉開湯100周年事業実行委員会 実行委員長 河田 稔

◆12月の100周年記念イベント♪

*詳しくは、「宇奈月温泉開湯100周年特設サイト」をご覧ください。

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