◆戦後初の映画ロケも
太平洋戦争後、国民の最大の娯楽の一つは映画でした。その映画全盛時代の昭和20、30年代、宇奈月温泉では映画ロケが何度も行われました。
富山県内で戦後最初の本格的な映画ロケともなったのは、1951(昭和26)年3月公開の大映作品「雪崩」でした。新藤兼人監督の2作目、当時人気スターの藤田進、乙羽信子が出演したラブロマンスの映画は、宇奈月温泉観光協会などの協力で撮影が行われました。雪崩が人工的に起こされたシーンやスキー場、愛本発電所でロケなどもあり、撮影現場には一目見ようと多くの人が押しかける人気ぶりでした。
1954(昭和29)年には松竹映画の「あなたと共に」(翌年1月公開)の宇奈月ロケが行われました。ラジオドラマをもとに大ヒットした映画「君の名は」と同じ大庭秀雄監督、岸惠子、佐田啓二ら人気スター出演という映画だけに話題を呼びました。撮影は関西電力柳河原発電所などで行われましたが、雪が少なかったため石灰や麩で雪景色を演出したというエピソードもありました。また主題歌を歌ったのは入善町出身の津村謙でした。
このほか1957(昭和32)年には岡田茉莉子、小山明子、高橋貞二が出演した「青い花の流れ」、1963(昭和38)年には寺島達夫、桑野みゆき、田村高廣出演の「あらくれ荒野」などのロケも行われています。
文・宇奈月温泉開湯100周年事業実行委員会 実行委員長 河田 稔
<この記事についてアンケートにご協力ください。>