◆宇奈月の先人に感謝
宇奈月温泉スキー場の上方に、12・7メートルもある「平和の像」が建っています。眼下に温泉街、遠くは富山湾まで望め、日本一標高の高い場所に設置されたブロンズ像としても知られています。
作者は黒部市宇奈月町音澤出身の彫刻家、故佐々木大樹氏で、制作途上で他界されたあと子息の日出雄氏が継承しつくられました。住民の幸せと平和を希求して1982(昭和57)年に完成、訪れる人も少なくなく、毎年5月18日には観音祭も開かれています。
この「平和の像」のすぐ近くに、宇奈月温泉の発展に尽くされた人々をまつる供養塔「宇奈月をひらく」があります。開湯70周年の1993(平成5)年に建てられたもので、宇奈月に居住した人、あるいは縁のあった人など先人の名前を刻んだ銘板も置かれています。
銘板に記した人は当初306人でしたが、10年ごとの周年に追加され、100周年の2023年には70人が新たに加わり、合わせて480人の名前が銘記されています。
電源開発とともに開湯して百年の歴史を積み重ねてきた宇奈月温泉ですが、その間必ずしも順風満帆ではありませんでした。苦難の時代もありました。それらを乗り越え、発展してきたのは、これら住民やご協力いただいた方々の努力の賜物でした。多くの先人に感謝し、次代に引き継いでいきたいと願っています。(おわり)
文・宇奈月温泉開湯100周年事業実行委員会 実行委員長 河田稔
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