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しもまちキラリ

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山口県下関市

■亀山能楽教室
豊臣秀吉が戦勝の感謝と武将へのねぎらいのため、能を奉納したのが起源とされる亀山能。
この亀山能で、前座を勤める亀山能楽教室の皆さんと、指導する能楽師宮本隆吉さんの想いをお届けします。

●古に想いをはせ、伝統を継承する
◇子どもたちに能楽を
亀山能をご存じでしょうか。豊臣秀吉が朝鮮に出兵した時、下関に滞在して亀山八幡宮で戦勝を祈願。その後、戦勝の感謝と武将へのねぎらいのため、能を奉納したのが起源で、市無形文化財第1号に指定されています。この亀山能の前座を勤めるのが亀山能楽教室の皆さんです。
能楽に関心を持つ人が年々減少する中、子どもを能の舞台に起用したことがきっかけで平成22年から始まりました。
現在、小学1年生から高校2年生まで、10人の子どもと大人も通っています。
10月の亀山能での発表会に向けて、この日練習を始めたのが、早鞆の瀬戸でのワカメ刈りを舞台にした謡曲「和布刈」。まず始めに、宮本さんが子どもたちに物語を解説します。「1800年前の言い伝えにちなみ、住吉神社では毎年旧暦元日の未明に松明を灯し、海底にワカメを刈りに行っています。想像してみてください」続いて宮本さんの謡を習って、子どもたちがはつらつと範唱します。
次に、謡に合わせて舞う、仕舞の練習をします。宮本さんは、ひとりずつ丁寧に、手や足の運び方、扇を開くタイミングや視線の方向を指導します。一人一人違う仕舞をするので、10人分の謡をみんなで覚えて、舞台を作り上げていきます。中学生の田邉百華さんは「兄が習っていて、自分もやりたいと思って始めました。先生から習ったことを思い通りにできたときが楽しいです」と話してくれました。

◇伝統を継承する使命感
指導している宮本さんは、下関で唯一の能楽師です。高校生から謡を始め、下関で働きながら、35歳で能楽師の資格を取得。京都大江能楽会に所属し、毎年4回、能公演に参加してきました。
「近く亀山能楽教室から、能楽師が1人誕生します。息子も能楽師として京都で活動をしています。亀山能に関わる能楽師が増え、継承の基盤ができてきました。しかし、能の開催には資金と、観に来てくださる方が必要です。年々能楽に興味を持つ方が減り、毎年開催していた亀山能は2年に1度の開催になってしまいました。下関から消えようとしている能楽を継承するためには、興味を持つ方を増やすことが大事です。学校や地域の文化活動にも参加し、交流を深め、能楽を体験する機会をつくりたいと思います」こう話す宮本さんは今年85歳。伝統を継承する使命感に燃えています。

●能楽を楽しみませんか
◇亀山能楽教室(宮本さん)
【電話】090-2007-7573
◇亀山能 10月28日(詳細本紙11ページ)
◇芸術文化祭 10月29日(詳細本紙9ページ)

(写真)謡の練習。お腹の底から声を出します。
(写真)毛利秀元寄進の翁面と面筥
亀山能と共に継承され、市無形文化財に指定されています。

●(写真)亀山能
日時:10月28日(土曜日)13時30分
場所:亀山八幡宮
※詳細本紙11ページ
「今年は2年ぶりの開催です。能楽は、外国のオペラです。ぜひ気軽に楽しんでください」と、宮本さん。
(写真)舞台での移動の練習
能面を付けると視界が狭くなるので、柱を目印に移動する練習をします。(柱の代用は座布団)
(写真)仕舞の練習(写真右宮本さん)
「教室の雰囲気が良くて、楽しくできます。まだまだと思いますが、少しずつ上手くなっていくのがやりがいです」と話してくれた高須賀勇司さんは、10年間教室に通っています。

※写真は本紙参照

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