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しもまちキラリ

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山口県下関市

■映像プロデューサー 鴻池和彦さん
映画館があった下関駅西口の大和町で、映画を見ながら育った鴻池さん。東京で11年間映画製作に携わった後に帰郷。映画を撮る一方、生まれ育った場所で念願の映画館をオープンしました。その想いとは。

●映画でまちに灯りを
漁港口の映画館シネマポスト

◇映画が身近に
下関駅西口に10月、小さな映画館「CINEMAPOST」が誕生。その名の通り、この映画館はかつて郵便局でした。
支配人の鴻池和彦さんは、高校までこの地で育ちました。
「昭和24年、下関漁港の要請で私の祖父に白羽の矢が立って郵便局ができたんです。子どもの頃は、人の流れが下関駅西口に非常に集中していて、3館の映画館やデパートもありました。映画が身近で、小学生の頃から東映まんがまつりや、アニメ、特撮などの映画を見に行っていました」
鴻池さんは東京の大学に進学。下関での映画の原体験があり、卒業後は映画の道へ。円谷プロダクションを皮切りに、映像制作に携わります。そして映画製作者として携わっていた頃、父親から郵便局を継いでほしいと言われます。
「ハードな状況が続いていて、結構疲弊していた頃でした。下関に帰るのも、ありかなと思いました」
そして任用試験を受け、郵便局長として下関へ戻ってきます。慣れない仕事と向き合いながら、鴻池さんの心を豊かにさせたのが、やはり映画を撮ること。下関を舞台にした市民参加型の映画も撮っていきました。

◇郵便局を映画館に
鴻池さんは、郵便局長と自主映画作りをこなしていましたが、郵便局がエリア配置の見直し対象となり、廃局されることになりました。そこで、映像制作会社設立へと舵を切ります。
「自分の考えたことが人に届けられる仕事は、生きがいに直結しますよね。企業理念の2本柱は『作る』と『伝える』。私の場合は映画です。自分がこれだと思ったものをみんなに共感してもらえるのは映画人の夢でもあります。しかし、映画館を立ち上げるにはいろいろな問題がありました。そんなとき、ある人が背中を押してくれました。『ここに映画館があることが重要なんです。いろんなことは二の次で、まずは映画館を作りましょう』と」
この一言がきっかけで、かつての郵便局は、面影を残しつつ、映画館へと生まれ変わりました。本格的な映像、音響などに鴻池さんの想いが詰まっています。
「どんなお客さまが来られるか、いつも楽しみです。ここに来れば、面白い時間が過ごせて居心地良いとお客さまに感じていただきたい。そして、人が集い、語り合い、つながりが広がっていってほしいと思います。ここが皆さんの心のオアシスや、コミュニティになるように、最大限のおもてなしでお客さまをお迎えしたいと思っています。そして下関駅西口に人が集まるきっかけになればと思います」
歳月を経て、再び下関駅西口にともった映画館の灯り。ここから新しい物語が生まれそうです。

(写真)この郵便局が映画館へ(写真右。鴻池さん)

(写真)鴻池さんが厳選したこだわりの映画(公開予定作品)
毎月第1・3週に、1日4回上映。詳細はシネマポストHPから。
上映後は、鴻池さんによる映画の解説もあります。

(写真)プロモーション映像を監督する鴻池さん
「会社で映画を作っていた時、上司から『物作りは0から1を生み出す尊い仕事で、これを経験するとやめられない』と言われた言葉が、すごく染みついています」

(写真)全国移住ナビ下関PR動画「ここに、いる下関」
鴻池さんが郵便局長をしながら、旧知の俳優さんやスタッフを集めて制作。
鴻池さんの下関愛が詰まっています。
下関でも、映像事業ができるかもしれないと手応えを感じた作品。

※写真は本紙参照

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