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【特集】下関発!デジタル水産業(2)

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山口県下関市

■03アプリで働き方改革
アプリを使うことで、働き方が改善し、販売価格の上昇につながる

◇競り前に状況を把握できる
卸売業者 荒川雅生さん
仲買人さんに需要を聞いて、アプリに入力しています。それを基に漁業者さんが効率よく魚を獲ってくれるので、需要に合った供給がされます。競り前に状況を把握でき、販売価格の上昇につながりました。

◇漁獲高の計算が不要に
漁労長 池内清さん
タブレットで魚の情報を入力すると、漁獲高が自動で出ます。計算が不要になり、寝る時間が増えました。2隻で漁をしますが、乗船していないもう1隻の船の状況も、簡単に分かるようになりました。

◇箱の在庫管理ができる
箱屋 宮崎武士さん
これまで箱の数を聞くために、沖からの電話を待っていましたが、メールで分かるようになりました。
箱の在庫を持たなくてよくなり、在庫管理もできます。
倉庫が半分になるとうれしいです。

◇注文を取りやすい
仲買人 山口栄二さん
沖での漁の状況は、想像するしかなかったのですが、卸売業者を通して分かるようになりました。
おきそこ船で今取れている魚の情報を、お客さんに伝えることで、注文を取りやすくなりました。

●アプリの効果
下関漁港一体となってアプリを導入すると、いろいろな変化が現れました。
関連業者は入港時間に合わせて、航海に必要な物を効率よく納品できるように。
1航海(約1週間)当たりの漁労長の漁獲データ整理作業は約12時間短縮。水揚げ予想金額も船員全員で共有できるので、意欲の向上につながりました。
さらに市場の需要評価を、漁業者が把握することで、需要がある魚を狙って操業できます。全船でアプリを導入した令和3年度、1航海当たりの水揚げ量は横ばいでしたが水揚げ金額は過去最高になりました。
下関で作られたこのアプリは実用化され、現在は愛媛県や島根県などの沖合底びき網漁船にも導入されています。

■04デジタル水産業戦略拠点へ
下関でのデジタル水産業の取り組みが全国へ

◇アプリとブランド化で農林水産大臣賞受賞
下関で水産業のデジタル化が前進した大きな鍵は、市場も一体となって取り組んだことでした。
「水産業は裾野が広い産業です。漁業者があって、市場があり、加工流通につながっていきます。乗組員不足など、深刻な問題もありますが、みんなで前向きに取り組んでいます」と宮本さん。
このアプリ導入と、アンコウのブランド化への取り組みが評価され、下関おきそこ地域水産業再生委員会は「令和3年度浜の活力再生プラン優良事例表彰」で、最優秀賞の農林水産大臣賞を受賞。
表彰選定委員会では「非常にインパクトが大きく、他地区でも参考となる事例」と評価されました。

◇下関がデジタル水産業のモデルに
下関での水産業のデジタル化は、さらに加速します。今年、下関漁港は全国初のデジタル水産業戦略拠点に選ばれました。
今後は、漁業者から卸売業者までつながっているデジタル技術を、仲買人や消費の段階まで拡大していきます。加えてデジタル人材を育成し、デジタル化をさらに効率的、効果的に推進します。
地域が一体となったこの取り組みを、これから全国へ展開していきます。

◇人が街をつくる
松本准教授は語ります。「今後、流通過程の消費の段階とつながることで、最終的には魚の単価が上がって漁港全体が潤うことを考えています。下関漁港の人たちは、みんな熱いものがあるんですよ。漁港を何とかしたいという想いがあって『できるか分からないけど、やろうじゃないか』と。デジタル化はあくまで手段です。デジタルを使うのは結局は人なんです。人が街をつくっていくんです」
関わる人たちの熱い想いで、下関漁港は、デジタル水産業へと舵を切り、明るい未来に向けて大海原を進みます。

(本紙QRコード)
農林水産省公式
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