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下関の地域医療を考える。(1)

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山口県下関市

4病院を3病院へ再編・統合することを検討中
新しい病院の建設候補地は、幡生操車場跡地

(1)2025年問題
2025年問題とは、「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となることによって起こる、社会保障費の増加や働き手不足などの社会問題のことをいいます。
「下関市人口ビジョン(令和元年改訂版)」によれば、少子高齢化、生産年齢人口の減少は本市でも例外ではなく、2025年(令和7年)には、これまでの年少人口(0歳~14歳)及び生産年齢人口(15歳~64歳)の減少に加え、65歳以上人口も減少に転じることが見込まれています。高齢化率については、65歳以上人口の減少よりも速いペースで若い世代の減少が進むため、2025年以降も上昇し、2045年には40%の水準に到達する見込みとなっています。

(2)地域医療への影響
本市における2025年問題は、地域医療にどのような影響をもたらすのでしょうか。
まず、1つ目は、生産年齢人口の減少により医療従事者、特に医師の確保が難しくなる点です。すでに、本市においても医師不足が理由で、一部の総合病院で診療を行っていない科目があります。
2つ目が、65歳以上人口も減少に転じることで、医療需要自体も縮小していく点です。医療従事者・患者数の減少にあわせてベッドの数を減らしていく必要があります。病床稼働率の低下は、病院経営の観点から将来も安心・安全な医療の提供を持続していくことの支障となる可能性があります。

(3)地域医療のあり方
将来にわたって安心・安全で持続可能な医療提供体制を維持していくためには、どうすればよいのでしょうか。
最も重要なポイントが、医師の確保です。医療が高度・専門化している現在、医師は、その病院でやりたいことができるか、能力を伸ばすことができるか、という点で病院選びをする傾向があります。地域の病院が分散し、患者数が減ると症例が少ないため、専門性を生かしきれず、医師から見た病院の魅力は低くなってしまいます。病院を集約し、症例数を多くすることが病院の魅力を引き上げ、医師の確保につながるのです。
また、患者数の減少に対しては、病院の再編・統合により、入院患者数を確保していく必要があります。

(4)地域医療構想
山口県は、平成28年7月に地域医療構想を策定し、8つの二次保健医療圏ごとに「地域医療構想調整会議」が設置されました。本市を圏域とする下関医療圏においても、医療関係者、有識者、市民代表等により構成される「下関医療圏地域医療構想調整会議」が設置され、協議が重ねられてきました。
平成29年4月及び令和5年3月に報告がまとめられ、「二次救急医療を担っている4病院(市立市民病院、済生会下関総合病院、関門医療センター、下関医療センター)は段階的に再編を進めること」、「まずは、4病院体制から3病院体制への再編・統合に係る検討を早急に進めていく必要があること」等が提言されました。

(5)新市立病院基本構想
前述の提言を受け、下関医療圏において、将来にわたり持続可能な医療提供体制を確保するため、建て替えの時期が近い市立市民病院と下関医療センターを統合した、新たな病院整備の可能性を検討し、このたび、新病院の整備に関する考え方や、新病院が担うべき役割・機能等に関する方針をまとめた「新下関市立病院に関する基本構想」を策定したものです。基本構想の詳細については、上記QRコード(本紙参照)から確認できます。
以降、基本構想策定に当たって実施したパブリック・コメントに寄せられた意見と、それに対する基本的な考え方を紹介します。

■下関医療圏の入院患者数の推移
▽推計1日入院患者数
平成27年 4,524人
令和2年 4,592人
令和7年 4,701人
令和12年 4,605人
令和17年 4,357人
令和22年 4,077人

▽推計1日入院患者数の対平成27年増減率
平成27年 100%
令和2年 102%
令和7年 104%
令和12年 102%
令和17年 96%
令和22年 90%

■現在まで
▼基本構想
下関医療圏地域医療構想調整会議の中間報告や4総合病院意見等を踏まえ、新しい病院の概要を示すとともに、建設場所、3病院体制への移行などの大まかな方針を表しています。

■令和6年度〜
▼基本計画
基本構想を踏まえ、新しい病院の診療科をどうするかや、病床の数、建設等に要する事業費など、より詳細な方針を定めていきます。

▼基本設計・実施設計・建設工事
基本計画に基づき、建物や諸室の具体的寸法、詳細部分まで設計を行い、必要な工事費を算出し、建設工事を行います。

■各病院の建設時期と建て替え目安時期
救急医療などを担う総合病院は、一般的に築30年~40年で建て替えの時期を迎えるといわれています。市立市民病院は、令和10年(2028年)に築40年、下関医療センターは、令和11年(2029年)に築30年を迎え、近々建て替えの検討が必要な時期となっています。

▽下関市立市民病院
既存病院 昭和63年(1988年)〜
建て替え(目安) 令和10年(2028年)

▽下関医療センター
既存病院 平成11年(1999年)〜
建て替え(目安) 令和11年(2029年)

▽済生会下関総合病院
既存病院 平成17年(2005年)〜
建て替え(目安) 2040年代〜

▽関門医療センター
既存病院 平成21年(2009年)〜
建て替え(目安) 2040年代〜

▼「新下関市立病院に関する基本構想」の詳細については、こちらから。
【URL】https://www.city.shimonoseki.lg.jp/soshiki/48/114055.html

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