■短歌は“第三の目”
歌人 木下龍也(きのしたたつや)さん
「受賞連絡に、うれしさ半分、僕でいいのだろうかという気持ちが半分でした。山口県の皆さまを後悔させないようにと、身の引き締まる思いです」と語るのは、芸術文化で高水準の創作活動を続け、将来性のある人などに送られる、県芸術文化振興奨励賞を受賞した、周南市出身の木下龍也さんです。
「短歌で使う言葉は、普段使う言葉とは違います。短歌の時代背景も学ぶので、国語というより歴史のようで、遠く感じていました。しかし、12年前に読んだ歌集から、短歌が一気に近付いてきた、短歌のイメージが更新されたと感じ、すぐに短歌をつくり始めました」と語る木下さんは、令和2年から専業歌人として活動しています。
「僕にとって短歌は第三の目のようなもの。2つの目で見えていなかったものを見せてくれたり、新たな視点をくれたり、俯瞰させてくれたりします。短歌はたった数秒で読めますが、その数秒で読む前後の世界が変わったり、読む前は見つからなかった人生のお守りが見つかったりします。そうやって短歌に助けられてきたので、僕もそういう短歌を読者に届けたいと常に思っています」と、短歌への思いを語ります。
「日々、自分の中のハードルが高くなっていくことを感じます。同じアイデアは二度と使えませんし、次につくる一首は、これまでにつくった短歌の全てをわずかでも越えていなければならないと思っているので、推敲(すいこう)しながら自分を納得させています」短歌に真摯に向き合う木下さんの歌は、SNSでも公開されています。
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