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すまいる Smile~鵜匠(うしょう)の技を磨き岩国の伝統を守りたい

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山口県岩国市

■Vol.167 森重正彦さん(下在住)
昭和43年岩国市出身。鉄鋼所に勤めながら、6月から9月までの鵜飼のシーズンは「錦帯橋のう飼」に携わる。平成30年から鵜匠を務める。
趣味は釣り、スキー。

岩国の夏の夜の風物詩と言えば「錦帯橋のう飼」です。鵜飼は、篝火(かがりび)を焚きながら、鵜を操り魚を捕る古典漁法です。鵜飼舟の先頭で鵜を巧みに操る人を鵜匠と呼び、「錦帯橋のう飼」で鵜匠をしているのが森重正彦さんです。
森重さんは、北河内地区の出身で、美しい錦川に慣れ親しんで育ちました。近くに川があったので、少年時代から釣りが大好きで、時間があれば友達と釣りをしていました。
そんな森重さんが、鵜飼と関わるきっかけは30歳の頃。「錦帯橋のう飼」に携わっている友人から、「一緒にやらないか」と誘われたことでした。最初はバイト感覚で始めたという森重さんですが、どんどん鵜飼の魅力に引き込まれていきます。
鵜飼舟には、鵜を操る「鵜匠」、舟を操る「艫(とも)のり」、鵜匠や艫のりを補佐する「中漕(なかこ)ぎ」が乗り込みます。鵜匠になるには、「中漕ぎ」から始めて「艫のり」の経験を積む必要があり、森重さんは20年にわたり、技を磨きました。そして50歳の時「鵜匠」としてデビューします。
「鵜匠は、鵜の手縄(たなわ)が絡まないようにさばきながら、魚をくわえた鵜を見極めて手縄を引っ張る。その手さばきがとても難しい。鵜匠としてはこれからです」と語る森重さん。
24年間シーズン中は毎日のように鵜飼に携わってきた森重さんですが、辞めたいと思ったことは一度も無いそう。「いいものを見せてもらったと観光客が喜んでくれることが一番の活力です。憧れの先輩鵜匠を目指して、もっと鵜の手縄さばきを磨いていきたい」と森重さんは笑顔で話します。
「鵜飼の後継者不足が課題となっている。かつては5艘(そう)出せていた舟が、現在は人手が足りず4艘出すのも難しい時があるんです。錦帯橋で行われる鵜飼は幻想的で美しく、岩国ならではの伝統文化です。仲間と共に伝統を守り、継承していきたいですね」
今日も森重さんは、6本の手縄に想いを込めて鵜を操ります。

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