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ふるさと歴史アラカルト

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山口県岩国市

■錦帯橋の創建日

今年は錦帯橋創建350年の節目の年にあたります。岩国領によって架けられた錦帯橋は、江戸時代の架け替え図面が12枚残っていることをはじめ、多くの資料が残されていることから、これまでの研究で多くのことが分かってきました。しかし、資料だけでは正確に分からないこともいまだに残されています。今回はその中の一つ、錦帯橋の創建日について紹介します。
錦帯橋の創建については、岩国領の御用所(ごようじょ)(※1)の記録「御用所日記」では10月1日の部分に記されています。一方、岩国で起こった出来事を時系列で書き継いだ「岩邑年代記(がんゆうねんだいき)」や吉川家歴代の歴史についてまとめた「吉川家譜(きっかわかふ)」では9月30日の部分に記されています。わずか一日ではありますが、資料によって書かれている日が異なるのです。なお渡り初めはほとんどの資料に、10月3日に行われたと記されています。
これらの中で最も信憑性が高いといえる資料が「御用所日記」です。「御用所日記」は、当時の岩国領の公的な記録であり、創建日について記されている資料の中で唯一、その当時に書かれたものと言えるからです。
「御用所日記」には「十月朔日橋今晩迄ニてすき(※2)と相整候…」とあり、要約すると「延宝元(1673)年10月1日の夜までに錦帯橋の工事が残らず完了し、その旨が第3代岩国領主の吉川広嘉(きっかわひろよし)様に報告された」ということになります。しかし、10月1日の夜に工事が完成し、その後に広嘉へ報告となると、夜中に領主へ工事の報告をしたことになるため、重要な工事とはいえ、時間的には不自然なようにも思えます。もしかしたら書き方に誤りがあり、例えば、工事が9月30日の夜中に終わって、10月1日に広嘉に報告したということもあるのかもしれません。
ただし、これはあくまで推測にすぎないことから、現在のところ確かなことは、10月1日までに錦帯橋が完成していたということだけになります。わずか一日、されど一日。はっきりさせることは難しいようです。

※1…行政を担当する御蔵元から提出された議案を検討・決裁する役所
※2…残らず

◇岩国徴古館(いわくにちょうこかん)
昭和20年に旧岩国藩主吉川家によって建てられ、その後岩国市に移管された市立の博物館
住所:横山二丁目7-19
【電話】41-0452
休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)

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