■Vol.183 星野貴彦(ほしのたかひこ)さん(端島在住)
広島県出身。令和3年から端島に移住し、タコ壷や底引き網の漁師をしながら、砂浜のボランティア清掃を企画運営するなど、地域の振興に尽力している。
「この島で自分がやりたいことを楽しみながら、島を訪れる人が増えていったら嬉しいね」と話すのは、柱島群島の一つ、端島に移住し、島の活性化に取り組む星野貴彦さんです。
広島で生まれ育った星野さんは、夏休みになると母の実家がある端島で、親戚と釣りや海水浴をするのが大好きな少年でした。漁師の祖父を見て育ち、子供の頃の夢は漁師だったそうです。
広島で就職してからも、夏になると端島の海を訪れていた星野さん。50歳を迎え、新たな生活を送りたいと考えていた際、夢だった漁師への思いと、亡き祖父母の家のリフォームが終わり島での生活環境が整ったことで、移住を決意します。同時に、訪れる度に草木に覆われていく道路など、徐々に手入れが行き届かなくなっていく端島の現状に「このままでは島が草木やゴミに覆われてしまうのでは」と危機感を募らせていたことも移住の理由の一つでした。
移住した星野さんは、新鮮な魚を獲る漁業にやりがいを感じながら、草木の伐採や海浜の清掃活動にも積極的に取り組みます。
「砂浜には漂流物でたくさんのゴミが溜まるんよ。人手がいるんで、ボランティアを募集したら多くの人が参加してくれた。みんな全力で掃除してくれるから、感謝の気持ちでバーベキューを振る舞ったら、参加者から逆にありがとうとお礼を言われて、それが嬉しかったね」と話します。
最近ではSNSやボランティア活動で星野さんを知り、端島の出身者やその親族から「将来的に島に住みたい」という連絡が増えてきたそうです。
「島を訪れる人が気軽に来れて、縁のある人が帰ってきたくなるような場所や機会を作りたい。いろんな苦労もあるけど、まずは自分が楽しいと思うことが大切なんよ」と言います。
ゲストハウスの整備やレモンの栽培、遊漁船の運航などさまざまな挑戦を行っている星野さん。来島者が増える環境を作るため、そして端島の明るい未来のために今日も汗を流します。
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