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なるほど健康教室[219]

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山口県岩国市

●甲状腺の病気について

甲状腺は首の喉仏(のどぼとけ)のすぐ下にあり、15~20gの重さでチョウが羽を広げたような形をした臓器です。甲状腺からは甲状腺ホルモンが作られ、体の新陳代謝を調節する役割があります。今回は甲状腺ホルモンに異常を来す代表的疾患であるバセドウ病と橋本病(慢性甲状腺炎)について紹介します。バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰な状態になり、多汗、動悸(どうき)、体重減少、下痢、イライラ感などの自覚症状が出ます。そのまま放置すると、クリーゼという命に関わるような重篤な状態に陥ることもまれにあります。バセドウ病は自己免疫(体外から侵入したウイルスや細菌などの異物を攻撃する免疫システムに異常が起こり自分の体内臓器などを攻撃してしまう状態)が甲状腺に起こることが原因と言われています。治療は抗甲状腺薬というホルモンの過剰産生を抑える薬の投与、手術、放射線治療などがあります。
橋本病は橋本策(はしもとはかる)博士により発表された病気で、甲状腺ホルモンが減少した状態にあります。体のむくみ、寒がり、便秘、倦怠(けんたい)感、うつなどの症状が出ることが多く、放置するとまれに粘液水腫性昏睡(ねんえきすいしゅせいこんすい)という重篤な状態を起こすこともあります。橋本病の原因はバセドウ病と同じく自己免疫が関与していると言われています。治療は甲状腺ホルモン薬の補充で行います。
甲状腺の病気は男性より女性にやや多い傾向にあり、バセドウ病も橋本病も不妊や流産の原因となることがあります。甲状腺の病気を疑ったら、まず血液検査を行います。甲状腺で作られるホルモンや脳(下垂体(かすいたい))から甲状腺に指令を出すホルモンの測定、免疫システムの異常で作られた免疫蛋白(たんぱく)(抗体)を測定します。またバセドウ病や橋本病では甲状腺が大きく腫れることが多く、触診や超音波検査で診断します。
甲状腺ホルモンの異常で起こる症状は、心臓病や消化器病などの病気でも起こり得る症状のものが多いため、他の病気と間違われることも多いです。病気の診断がなかなかつかないような場合は、甲状腺の病気の可能性を疑ってみてください。甲状腺の病気が気になる人は医療機関で一度相談されてはいかがでしょうか。
〔岩国市医師会〕

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