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人権コラム No.129 つながり ぬくもり

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山口県平生町

『キャッシュレス』

給与が口座振り込みになってかなりの年数が経過しました。口座振り込みは事務の簡略化と人為的なミスを少なくするための有効な方法です。
その延長線上に日常生活の場面でもカード一枚で支払いができるようになり、キャッシュレスの時代にまっしぐらのような世相です。
しかし、私は支払いをカードで済ますことに踏み切れないでいます。
生活費は一週間の予算を立てます。現金の場合、食品を買うときには、当日の予算内に収まるよう財布内の金額を気にしながら品選びをします。カード支払いでは、通帳の残高は意識せずに、欲しいものがあれば、躊躇することなく買ってしまうような怖さを感じるからです。購買欲が節約心を上回るという人間の弱さを感じているのかもしれません。
私たちは仕事に携わっています。その労働の対価としてお金をいただいています。そのお金は経済的に安定した生活の基盤を図るためのとても貴重なものです。
しかも労働の意義はこれ以外に、社会の存続発展に寄与し、自己の能力や個性の伸長をすることなのです。このように、自分の仕事で汗水流して社会貢献をし、自己実現をめざしながらお金をいただくのですから、労働は人間の尊い義務なのです。
貴重なお金を、現金を手にすることなくカード一枚でのやりとりでは、お金の貴重さや労働の尊さを薄める可能性を秘めているのではないでしょうか。
最近の報道によると、見知らぬ者同士が徒党を組んで商店や一般家庭に侵入し、お金や物品を強奪したり、肉親を金品目当てで殺傷したりする事件が頻発しています。これは、お金を労働の貴重な対価としてではなく、他人の生命に危害を加えた対価としてでも強奪する卑劣な行為ではないでしょうか。
カード時代に突入する時代に、このような金銭感覚のマヒした恐ろしい行為に走る人物をなくすことが大きな課題でしょう。
それには、幼少のころから、お金は労働の貴重な対価であることを実感させておくことや、欲しいものへの欲望に負けず、節約、倹約、貯蓄などの計画的使い方などの金銭感覚を身につけさせておくことが大人の責任ではないでしょうか。
お小遣いもカードで渡す家庭がありました。よほどの金銭感覚が身についていなければ、財布やカードからいくらでもお金が湧いて出てくるような金銭感覚を育てるようになり、将来に禍根を残す大人になるのではないかと思われてなりません。

平生町人権教育推進協議会
(事務局:町教育委員会)

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