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人権コラム No.127 つながり ぬくもり

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山口県平生町

『人生とんとん、ハレとケ』

「とんとん」とは、ふたつのものが、ほとんど同じで差の無いことを表すときに用いています。とんとんに人生が加われば、{人生とんとん}となり、人生では、幸せなときと不幸なときの量は同じだけあるとの教えです。人生とは、シーソーのように、浮き沈みが代わりばんこにやってくるということでしょう。
「ハレとケ」という言葉があります。ハレとは、お祭りや年中行事、それに願いが叶ったり欲しい物が手に入ったりなど、うれしい日のことを言います。ケとは、ハレの日以外の変化のない日のことを言います。
数十年前までのハレの年中行事やお祭りのときには、ちらし寿司を作り、屋台の賑わいを楽しんでいました。ケの期間、農家では家族総出で食料の確保のための米や野菜の栽培、燃料にするたきぎ取りなどに、日が沈むころまで働いていました。子どもは働くことでお小遣いをもらえることもありません。
家族のために働くことは当たり前のこととして、辛い仕事や質素な生活に堪えながら、ハレの来る日を楽しみにしていました。地域の方々とは、ハレの日には喜びや楽しみを共にし、ケの期間には食べ物を分け合うなど、支え合い助け合いながらハレの日が来るまでの生活を共にしていました。
このように、ケの期間に辛いことに打ち勝つ力や思いやりの心など、人としての大切な資質を身につけていたのでしょう。
現在では、衣食住に関しては、おおよその家庭で十分とは言えないにしても、ハレの日が続き、ケの期間が少なくなったように思います。そのことは、ケの期間に学んでいた、人としての資質が身につきにくくなり、自己中心的な人が増えたような気がします。
今を生きる私たちは、家庭以外のさまざまな集団で生活をしています。そのような生活の中で、仕事や交友関係による精神的物質的なハレやケの期間が必ずやってきます。凶悪犯罪は、このケの期間のときに起きていると言われています。
その原因として、自己中心的な人にケを営むことに支障が出てしまったその時、自分の周りには誰も相談相手がいないことに気づき、その孤独感が引き金となって、反社会的な行動を取るのではないかと言われています。
ハレとハレの間のケの期間は、ハレの日が来るための花の種をまき、手厚く育てて立派な花を咲かせるための期間です。まさに苦は楽の種。ケの期間を大切にすることが、人間の資質を高め、平和な社会の実現につながるのではないでしょうか。

平生町人権教育推進協議会(事務局:町教育委員会)

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