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人権コラム No.131 つながり ぬくもり

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山口県平生町

『大自然とともに』

風林火山
疾如風 徐如林
侵掠如火 不動如山

これは、武田信玄の旗印にある孫氏の句で、読み方は、「疾(はや)きこと風の如く。徐(しず)かなること林の如く。侵掠(しんりゃく)すること火の如く。動かざること山の如し。」です。
俳句では山の四季の季語を、「山笑う(春)、山滴る(夏)、山粧う(秋)、山眠る(冬)。」としています。

閑さや 岩にしみ入る 蝉の声

この句は、中学校で習いましたが、いまだに心に残っています。それは、岩に蝉の声がしみ入るわけもないのに、私が大自然は偉大だとの思いを子ども心のどこかに抱いていたからでしょうか。
確かに大自然は、人間の叡智をはるかに超えた存在であり、かつ、衣食住全般への恩恵を与えてくれています。そのため、偉大なる大自然を崇拝の対象とし、その崇拝の念が私たちの行動や心の感じ方などを、前述のように自然の姿に当てはめて表現したのでしょう。古から人間の営みは大自然とともにあったのです。
近年、人間の営みは時代とともに変化してきました。その象徴とされているのが三種の神器です。
その変遷は、1950年代は「冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビ」、1960年代は「カラーテレビ・クーラー・自家用車」でした。そして令和年代では「ドラム式洗濯乾燥機・ロボット掃除機・食器洗い乾燥機」だと言われています。これらの三種の神器は、それぞれの時代背景を表していますが、令和のそれは共働きや単身世帯の増加、そしてスマホやパソコン等による昼夜を問わない情報の氾濫などに対応するため、家庭生活での手仕事の減少や時短を求めたからと言えるでしょう。この生活では、私たちが大自然の中で生かされているとの思いはほぼ見えません。
最近の大自然は、地震・線状降水帯・異常気温などが頻発し、泰然自若とは言えないように見えます。また、人間社会も自分のことしか考えられないことによる凶行の頻発や、常に世界のどこかで戦争が行われるなど、雄大な自然の姿とはかけ離れた様相を示しています。
しかし新聞、テレビ、そして雑誌に至るまで、俳句・短歌・川柳・詩等は、今でも愛されています。それは、私たちが大自然の悠久な時の流れや恵みを崇拝し、敬意の心を忘れずに持ち続けているからでしょう。
地球環境問題が叫ばれ、安全で幸せな生活が希求されている今日、悠久なる大自然への敬意の心を大切にし、それを心のよりどころとすれば、調和のとれた心安らかな、平和な社会が実現できるのではないでしょうか。

平生町人権教育推進協議会
(事務局 町教育委員会)

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