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人権コラム No.134 つながり ぬくもり

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山口県平生町

『ブレーキ』

私たちは、共同生活を送るにあたり、良心に基づいて活動をしています。
良心とは、物事の是非や善悪を判断し、状況や利害に左右されず、善と判断したときは活動を促し、悪と判断したときは、行動を抑制するような、アクセルとブレーキの役割をする心の動きのことです。日本が世界から親切で犯罪の少ない豊かな国だと評価を得ているのは、国民がこの良心の働きに的確に応えているからでしょう。
私たちは、幸せな生活を送りたいとの欲求を満たす活動を共同体の中で行っています。いつの時代でも、活動は順風満帆とはいかず、他人との間に齟齬が生じます。
その齟齬を円満に解決するためには、良心に従い、お互いがブレーキをかけて立ち止まる必要があります。最近、このブレーキをかけるタイミングが遅れ気味のように感じています。
時の流れにより、個性と自己実現の尊重に重きが置かれるようになりました。そのため、齟齬が生じたとき、自分の欲求の実現を優先したいがため、自分に有利なタイミングでブレーキをかけようとするなど、自分勝手な行動が多くなっているのではないでしょうか。
最悪な場合では、自己の欲求の実現のために、自分以外の人間の尊厳を無視して、ブレーキをかけることなく突っ走った結果、悲惨な事件が起きてしまった報道を聞くことも多くあります。
このような現状から適切な時機にブレーキがかけられる良心の在り方を顧みることも大切ではないでしょうか。
日本人の良心的な国民性は、幼児期に身の回りの人との関わりの中で育てられたものでしょう。例えば、しきりに聞かされた「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます」は、「約束は命懸けで守りなさい」であり、花咲かじいさんは勧善懲悪を勧めるお話です。このようなことわざや絵本での教えや、立ち居振舞の仕方を、幼い頃から身につくまで語り聞かされ、やらされながらしつけられた良心を今も持ち続けているのです。
最近知った言葉で、「目前(めさき)の師を尊敬せよ」があります。これは、「人はすべて生育歴が違うので、出会う人は私が持っていないものを持っているから、目の前のすべての人を師として謙虚な気持ちで接しなさい」ということでしょう。
この謙虚な心をブレーキとする良心が育まれていれば、自他の幸せを願う行動がとれ、いじめや誹謗中傷などには、的確な時機にブレーキをかけることができ、悲惨な事件はなくなるのではないでしょうか。平生町人権教育推進協議会

(事務局:町教育委員会)

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