去る4月3日、台湾東部沖で発生した地震により、甚大な被害が発生いたしました。被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
萩市は、台湾北部にある台北市の士林区と、吉田松陰先生の甥にあたる楫取道明(かとりみちあき)のご縁により、道明没後120年の節目となる平成28年に友好交流協力に関する覚書を締結いたしました。明治期、台湾に渡った道明は、松下村塾を理想とした学童教育に情熱を傾けましたが、志半ばに殉職されました。道明を含む6人の殉職された日本人教育者は、台湾において近代教育の礎を築いた「六氏先生」と呼ばれ、彼らが教育活動を行った現在の士林区は「教育の聖地」と言われているとのことであります。
一方、産業分野においても台湾の発展に尽力された萩出身者がいらっしゃいます。萩地域の米屋町出身の賀田(かだ)金三郎は、明治期に台湾で賀田組を創設し、各地で建設請負や製糖、金融、開墾、農業など、幅広く様々な事業を展開されました。この度の地震の被害が大きかったと報じられている花蓮には、「台湾東部開発の父」と呼ばれる賀田の功績をたたえる碑が建てられたとのことであります。また、賀田は、萩地域の上野に萩製糸株式会社を設立され、萩の産業振興にも尽力されました。後に、会社付近に建てられた銅像は、第2次大戦中に供出されたそうですが、今なお、その台座が上野に残っております。
このように台湾と縁(ゆかり)の深い萩市といたしまして、この度の地震による被災の報に、大変心を痛めているところであります。こうしたことから、萩市では、現在、台湾への支援として、救援金を募集しております。市役所など17か所に救援金箱を設置し、市民の皆様のご支援を呼びかけているところであります。改めて、救援金にご協力いただきますようお願い申し上げますとともに、被災された皆様の一日も早い回復と、被災地の復旧、復興を心から祈念いたしております。
萩市長 田中文夫
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