防府でさかんな小型底びき網漁法は海底付近の魚を袋網でひく漁法。
波や潮の干満などの状態から、網を入れるタイミング、ひく時間を決める。長い時には2時間以上も網をひき続ける、漁師の経験や勘が試される職人の世界だ。
午前4時、漁を終えた船が市場に入港。獲れた魚を、素早く活〆する。新鮮さを保つため、スピードが求められる作業が船上で繰り返される。
「漁師はライバルだが、仲間でもある」
山口県漁協 吉佐支店 秀漁丸 河内山 満政さん
○漁師になったきっかけは?
父親が漁師で、家業を引き継いで漁師に。
漁師歴は43年、独り立ちしてから20年になる。
○多くのお弟子さんを育てていらっしゃいます。
約40人いる向島の漁師のうち、底びき網漁をするのは、10人。
そのうち3人が自分の弟子。北海道や大阪出身の若い漁師もいる。様々な人が防府に集って活性化すると嬉しい。
○冬の漁の特徴は?
色々な場所に行って漁をする。今の時期はスズキや鯛が多く揚がるが、自分はそれだけを狙っていない。ヒラメやマナガツオなど、あまり揚がらない魚を獲ると仲買さんにも喜んでもらえる。昔20kgのクエを取ったときは嬉しかった。
○漁師の仕事とは?
漁師は自分で努力した分が返ってくる仕事。当然みんなライバルだが、仲間意識は強い。海の上では助け合うこともしばしば。他地域の漁師たちと、特産のハモを共同出荷して、防府の魚の商圏を広げる活動をしている。
「師匠はすごい漁師、まさに職人」
山口県漁協 吉佐支店 尚丸
中谷 亮太さん
○大阪から防府で漁師に。きっかけは?
祖父が野島で漁師をしていた。大阪で生まれ育ったが、防府は小さい頃から馴染みがある土地。山口県の育成制度が他にくらべ充実していたことも大きかった。
○師匠の存在は?
師匠は普段は穏やかで優しいが、船の上ではまさに職人。漁だけでなく、たくさんのことを学んだ。
○1月からは師匠を離れ独り立ち。どんな漁師を目指しますか?
漁師は頑張るほど、結果として現れる自己責任の世界。将来は防府の市場では揚がらない魚をとって市場を活性化させたい。
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