無角和牛振興のプロジェクトの歩みについて、令和5年7月に着任した、阿武町地域プロジェクトマネージャーの渡邊雅之(わたなべまさゆき) 氏の取り組みを交えながら報告いたします
■渡邊雅之(わたなべまさゆき)
昭和44年3月、千葉県生まれ。東京都内のイタリア料理店を経てイタリアに渡り、トスカーナ州で3年間の修行を積む。帰国後の平成14年、東京・青山に「ベッカッチャ」をオープン。平成25年に赤坂に移り、「ヴァッカロッサ」のシェフに就任。令和5年7月から「無角和種振興」を任務とする「阿武町地域プロジェクトマネージャー」に着任。
■無角和牛のこれまでとこれから
渡邊氏は、無角和牛の特徴にあっている、牧草粗飼料を中心とした餌による飼育で早熟早肥の利点を活かして、土地の環境、気候、風土を生かした風土色の強い次世代に繋いでいく健康的な無角和牛を残していくことが阿武町にとって重要なことと位置づけ、その目標に沿った取り組みを展開してきました。
また、無角和牛の本質を変えていくのではなく、『和牛の香りを持ち合わせつつ、唯一サシの入りにくい赤身和牛』の特徴を最大限に発揮できる様な『食べ方』を推奨していくなど、生産から消費までをトータルで考えて、プロジェクトを進めています。
『循環型のまちづくり』を目指している阿武町の理念と並行して、地域ブランドとして、将来的に負荷の少ない継続可能な運営を目指していくため、さまざまな取り組みに着手してきましたのでご紹介いたします。
1.現状の無角和牛の特徴のアピール、食べ方の指導や啓発活動(部位ごとの食べ方の実施活動、NHK、町議員、町民、飲食店関係者など)
2.牧草中心飼育の経産牛のテスト販売や飲食店などのイベント開催による消費者の反応調査
萩市明木のレストラン「彦六又十郎」や東京都銀座の「トワヴィサージュ」などでの実施
3.部位ごとの優位点の紹介や一頭丸ごとの全部位紹介による牛肉の販売促進
地域住民の理解を促進するため町内中心での販売実施
4.飼育期間のベストを探すため、月齢違いの無角和牛の部位ごとの試食や販売の実施
飲食店のシェフを中心に作り方や食べ方の紹介や、アンケート調査などを実施
5.専門家との意見交換会の実施
津野山畜産公社(高知県)、高知県庁、九州農研、西日本農研所属の専門家などと意見交換
6.阿武町産のみの粗飼料主体肥育テストの開始
牧草、WCS(稲発酵粗飼料)、福の里の米ぬか、うもれ木の郷のおからを飼料として与えて育てる
7.放牧場や耕作放棄地を活用した経産牛の放牧再肥育の実施
※経産牛の放牧再肥育…何度も出産した雌牛を肉用牛として育てること
8.ハンバーグなど無角和牛を使用した一次加工品作り
9.急速冷凍による状態テストの実施と飲食店や道の駅での販売
萩市明木のレストラン「彦六又十郎」での冷凍テストメニュー提供による消費者への実食調査
このように、無角和牛のさらなるブランド化に向けて、地域の資源を活用した生産方法の模索や人材の育成、啓発活動に取り組んでいます。この取り組みによって、無角和牛以外の阿武町の産品も注目され、阿武町が「名産地」と世界に周知される土地となることを目指しています。無角和牛振興の取り組みについて、引き続き応援いただけますと嬉しいです!(藤尾)
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