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「当たり前」ではなく「貴重」な樹氷(1)

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山形県 山形市

樹氷が貴重な存在であることは知っていますか。複数の条件が重なった美しい自然現象として、一目見ようと全国、世界から多くの観光客が訪れます。そんな貴重な樹氷が、地球温暖化で木に氷が付かない、害虫によって樹氷になる木が枯れる等が原因で、全国的にできなくなっています。樹氷を見ることができるのは、日本で5カ所ほど。蔵王も、樹氷になる木のオオシラビソの枯損が増加しており、もしかしたらいずれ樹氷を見ることができなくなるかもしれません。

▽「貴重」と言われるゆえん「樹氷ができる条件」
次の条件が重なることで樹氷になります。
・オオシラビソであること(他の種類でも樹氷になる可能性あり)
・風速10~15mの強風が吹くこと
・過冷却された水滴が吹き付けられること
・気温がマイナス10~15℃になること
・雪が多く降ること
これら複数の条件がそろい、オオシラビソに過冷却された水滴や雪が吹き付けられ、何重にも凍結していくことで樹氷が作られます。

▽樹氷の天敵「虫」と「地球温暖化」
樹氷ができなくなっているのは2つの原因があります。
1つ目は、虫による被害です。トウヒツヅリヒメハマキという「ガ」の一種が2013~16年に大量発生し、その幼虫がオオシラビソの葉を食べ、葉が茶色に変色するなどオオシラビソの木が弱りました。木が弱っているところにキクイムシが飛来し、オオシラビソの幹を食べて複数の穴が開くなどして、枯損木が広がりました。オオシラビソの枝や葉がなくなってしまうことで、樹氷ができる条件がそろっても樹氷ができなかったり、できたとしても小さい樹氷になったりしています。
2つ目は、地球温暖化による影響です。蔵王の気温が高い日が増えたり、春一番などの暖かい風が吹き付けたりすることで、オオシラビソが凍結しない、氷が崩れる、ということが起こります。また、気温が15℃を超えると飛翔する性質のキクイムシが飛び回って枯損木が広がったのも、蔵王の気温が年間を通して15℃を超える日が増えたことが原因だと考えられています。

▽何十年とかかる樹氷の再生へ
樹氷の再生に向けて、オオシラビソの植樹や種からオオシラビソを育てる活動を行っています。植樹した木でも樹氷ができるような大きさに成長するまで何十年もかかります。オオシラビソを増やしていくだけではなく、何十年も先のオオシラビソが成長するまで守っていけるように、世代を引き継ぎながら樹氷の再生に向けて活動を続けていくことが必要です。

▽樹氷の今を見に行ってみませんか
樹氷を見に行くことは、その魅力を次世代へ伝えるきっかけになります。実際に行ってみると、自然の力で偶然できる神秘的な光景を見ることができます。初めて樹氷を見た観光客の声も聞こえて、樹氷が「貴重」で、地元にあることに対して「誇り」や「宝」だと感じられるかもしれません。
新聞やテレビなどで発信される樹氷を見て、今年も樹氷ができたと写真や映像で満足せずに、ぜひ樹氷の「今」を見に行ってみませんか。

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