▼目の健康
山形市保健所 山下英俊
日本は平均寿命、健康寿命が世界でトップクラスです。健康寿命とは、日常生活で制限されることなく健康的に生活を送ることができる期間ですが、そのためには視力を保持することもとても大切です。失明率も日本はかなり低い国の一つであり、千人に1.4人くらいです。視力障害を来す疾患としては、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性など高齢者に起こりやすい病気、体質による網膜色素変性症などがあります。厚労省の支援を受けた研究(的場亮先生、森實祐基教授(岡山大学眼科)が中心となり、私も参加しました)によりますと、緑内障による視力障害が増加しており、2019年の調査では日本における視覚障害の原因の4割を占めています。山形県でも緑内障が視力障害の原因としてトップです(2019年で約4割)。緑内障に罹患(りかん)する方は、40歳以上の方の約5%、つまり20人に1人が罹患します。決してまれな病気ではありません。
緑内障は急に眼圧が高くなり、目の痛み、頭痛、嘔吐(おうと)など激しい症状を示す急性緑内障発作と、上記のような自覚症状がなくゆっくりと視野欠損が出現し、広がっていくタイプに分かれますが、約8割は後者のタイプです(日本緑内障学会:多治見緑内障疫学調査による)。点眼薬や手術等の優れた治療法が開発されておりますが、失明を防ぐには早期発見、早期治療がなにより大切です。見え方の異常に早期に気付くためには、ときどき片目ずつ、数メーター離れた同じものを定期的に見て(例えばカレンダー等)、見え方をチェックすることをお勧めします。
(1)文字は読めるか?読めていた文字がぼんやりしてきたら「視力低下」です。
(2)欠けているところはないか?欠けているところがあると「視野欠損」です。
このような場合、自覚症状がなくてもぜひ眼科を受診してください。
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