◇持続可能なまちづくりを目指して
山形市ではこれまで健康医療先進都市、文化創造都市の2大ビジョンの下、さまざまなチャレンジを行ってきました。この2大ビジョンは長期ビジョンとして、引き続き堅持します。その上で新しい発展計画の策定に当たっては、持続可能なまちづくりという点を重視し、バックキャスティングという考え方を新たに取り入れます。さまざまな課題が顕在化するとされる2040年における山形市の目指すまちの姿を描いた上で、子育てや福祉、経済、文化などの各分野で目指すまちの姿を描き、その実現のためにこれからの5年間でやるべき取り組みを計画に盛り込みます。
その他、AI等の技術の進展やコロナ禍を経て世の中の考え方が変わったこと等により、ますます多様化・複雑化する行政課題に対応するために、デジタルの活用や公民連携などの視点も新しい発展計画にさらに盛り込んでいく必要があると思っています。
▽キーワードは都市機能の維持・発展
2024年4月に人口戦略会議2が発表した「地方自治体『持続可能性』分析レポート」では、山形市や天童市、東根市等を除き、県内35市町村のうち28市町村が「消滅可能性自治体3」に位置付けられています。
実際には簡単にまちが消滅するわけではありませんが、そうした厳しい予測もある中で、エリアとして持続していくためには、山形市が、雇用や教育、医療などの都市機能をしっかりと維持できるかどうかが鍵になると考えています。
山形市には周辺市町から通勤・通学している方や市内の病院に通院している方も多くいらっしゃいます。そうした状況からも、山形市が県都として、また、村山地方の中核都市として都市機能を維持・発展し、活力を持ち続けることで、周辺の市町も元気でいられるはずです。
山形市が中核市に移行したことで、連携中枢都市圏4の枠組みの中で、周辺市町も含めて持続可能なまちを目指すために、連携をさらに深めてさまざまな取り組みを行っています。
例えば、学校給食用の米飯を提供するための炊飯施設を8市町が共同で建設し、運営しています。これは、各市町がそれぞれ運営していた炊飯施設が老朽化しているといった課題を連携して解決した事例であり、大きな成功事例だと思っています。
◇都市機能の維持・発展のための取り組み
▽経済の活性化から好循環を
経済については、当然民間が主体ですが、働く場所があって、しっかり所得が得られてこそ、持続可能なまちであるといえます。
2018年にオープンした地元企業支援の中核である山形市売上増進支援センターY-bizは、地元企業が売り上げを伸ばすためのコンサルティング機関として今も行列が絶えない状況で、さらに支援を充実させていきたいと考えています。
企業誘致についても、山形中央インター産業団地が2016年に完成して、2年程度で誘致が完了したという状況がある中で、現在山形自動車道山形北インターチェンジに隣接する新しい産業団地「山形北インター産業団地」を造成しています。2025年度末に完成予定ですが、2024年12月から立地企業の募集が始まっています。新しい産業団地には、地元企業の拡張要望に応えるとともに、半導体関連などのこれから伸びる産業、あるいは地元企業と親和性のあるような産業を誘致して地域経済を元気にしていきたいと考えています。
また、農業についても、現在10年後の農地の在り方を各地区で議論しながら、「目標地図」5として落とし込む作業をしています。担い手の育成や技能の継承、鳥獣被害対策など総合的に取り組み、持続可能な農業をつくります。
地域経済が活性化することで、税収増につながり、その税収を子育て、教育、福祉に回していくという好循環をつくっていきたいと考えています。
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