▽観光都市を目指す
観光については、伸びしろが大きいと思っています。蔵王温泉・山寺にまちなか観光を加え、山形市全体として観光都市を目指したいと考えています。
もともとの山形市の2大観光地である蔵王温泉・山寺については、それぞれ事業者の方が日々誘客に向けた魅力的な観光地づくりへのチャレンジをしていますので、山形市としてもしっかり応援していきます。
インバウンドは、コロナ禍前の2019年度と2023年度を比較すると3・5倍に増加しています。特に冬季間の蔵王温泉は、樹氷観賞を目的とした観光客の増加によりロープウエーの待ち時間が2時間に及ぶこともあり、オーバーツーリズム6化していることが課題になっています。この対策として、国の支援策を活用しながら、ロープウエー乗車券の事前予約システムの導入など、混雑緩和に向けたさまざまな対策を観光事業者と連携して行っています。
山寺では、歴史や文化が感じられるまちなみにするため、景観重点地区に指定するとともに、道路の無電柱化を行っています。
山形市には魅力的な、また、可能性を秘めた観光資源がたくさんありますが、まだまだ活かしきれていません。それを花開かせるために整備を進めているのが日本一の観光案内所です。
日本一の観光案内所については、JR東日本および慶応義塾大学SFC研究所7と覚書を締結し、コンセプトや必要な機能を議論しており、2024年11月には議論した内容を基に山形市で基本構想を策定したところです。お越しになった方の興味関心に応じて、山形市の魅力を余すことなくご案内して、最大限楽しんでいただくことを最重視して整備します。山形駅東口に整備したいと考えていますが、東西自由通路と霞城セントラルまでを一体として捉え、観光客を歓迎する体制づくりをしていきます。
また、料亭旧千歳館は、市が譲り受けて、観光客の方にやまがた舞子の踊りを見ていただいたり、食事ができたり、宿泊ができるような施設へと生まれ変わらせます。
こうしたハード整備に加え、消費額日本一を誇るラーメン、寒ざらしそばや天保そばなど地域の歴史を体現する四季折々のそば、江戸時代から続く日本酒などの食文化、古くからの名建築や伝統工芸、山形城・長谷堂城や山形五堰(せき)などの歴史的遺産といった、元々山形市が持っている魅力を観光資源として磨いて、誘客につなげていきたいと考えています。
▽中心市街地の活性化
中心市街地の活性化については、これまでも中心市街地グランドデザインに沿ってさまざまな取り組みを行ってきました。その結果として、毎年行っている歩行者通行量調査では、2023年、2024年と連続して、2009年以来最高値を更新し、取り組みの成果が出てきています。
今後も、「歩くほど幸せになるまち」のテーマの下、居心地が良く、回遊性あるまちづくりをさらに進めていきます。
御殿堰(ごてんぜき)の整備については、水の町屋七日町御殿堰、山形県税理士会館、そして十一屋脇を玉石積みに復元してきました。現在、七日町御殿堰のさらに上流を、粋な町七日町というコンセプトの下、粋七(いきなな)エリア整備事業として新たに整備中であり、御殿堰沿いを歩いて楽しい空間にしていきます。
旧大沼・済生館の開発についても、地権者も含め関係者の皆さんと話し合いを進めています。済生館については、現地建て替えで、現在の建物の北側に建物を造って、その南側を広場にしていきたいと考えています。商業に加えて公共施設など、市民ニーズに合うさまざまな機能を盛り込んでいきたいと考えています。
民間との連携としては、現在建て替え中の山形銀行本店において、1~2階が公共スペースとなる予定であり、これも新たなにぎわい創出につながるものと期待しています。また、近年中心市街地ではマンション建設が進んでいます。住むまちとしての魅力、社会・文化芸術・クリエイティブを体感できる中心市街地、そうしたいろいろな面で引き続き魅力を高める取り組みをしていきます。
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