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自治体の皆さまへ

奏であう人 ボリューム72

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山形県 クリエイティブ・コモンズ

撮影場所:Naëbaco(小国町)

■キーワード 移住者の視点で地域の交流を生み出す
刺繍作家として活動する傍ら、移住者をサポートする団体を運営する舟山康名さんと、イラストレーターとして山形を拠点に全国で活躍する竹永絵里さんに、移住したからこそわかる山形の魅力についてお話をお聞きしました。

▼舟山 康名(ふなやま やすな)さん(小国町)
1992年生まれ。埼玉県出身、小国町在住。大学卒業後、東京のアパレル企業に就職するも、2017年に結婚を機に夫の故郷である小国町へIターン。同町の移住者仲間とともに、移住者と地域をつなぐ試みとして、おぐに移住者コミュニティ「つむぐ」を立ち上げる。また、刺繍作家としても活躍している。

写真キャプション「つむぐ」の活動の一環として、小国町の移住者などが手作りのお菓子や小物などを販売するマルシェを企画している舟山さん。2021年から定期的にマルシェを開催するなかで出店者が増え、今年は27団体が出店。町内外からたくさんのお客さんが訪れ、出店者と交流を深める場となっている。

▼竹永 絵里(たけなが えり)さん(山形市)
1981年生まれ。福岡県出身、山形市在住。東京を拠点にイラストレーターとして活躍するなか、夫のUターンに伴い自身もIターンし、生活の拠点を山形市へ移す。現在も出版物や広告のイラストなど全国区の仕事を行いながら、第二の故郷である山形をモチーフにした作品を数多く発表。山形に密着した仕事へも情熱を傾けている。

写真キャプション 竹永さんが山形で出会った魅力ある食べ物や風景、伝統工芸などのイラストをあしらった小冊子やポストカードなどの小物。竹永さんのイラストは、柔らかいタッチとかわいらしく親しみのあるテイストが特徴で、小学校の社会の教科書や商品のパッケージなどで広く採用されている。

◇移住者ならではの体験が活動をはじめる原点に
小国町で移住者と地域をつなぐ団体「つむぐ」を運営する舟山さんが活動をはじめたきっかけには、自らが感じた移住者ならではの悩みがあったと言います。
「今では小国町が大好きな私ですが、結婚を機に移住した当初は、夫と夫の家族のほかに知り合いがおらず、地元に帰りたいといつも思っていました。役場の方に紹介してもらった先輩移住者と知り合えたことで、居場所ができたように感じました。その経験から、小国町に移住した方が気軽に知り合いをつくったり、情報交換したりする場をつくりたいと考えるようになりました」。
立ち上げから3年が経ち、「つむぐ」は現在約90名のメンバーで活動中。「つむぐ」が定期的に開催するマルシェは、移住者と地域の方が交流する場にもなっています。
「移住者が移住先で人間関係を築くことは、幸福感にも直結すると思います。最近移住した方から、“つむぐ”があるから小国町を選んだとお聞きし、活動の励みになっています。」と舟山さんはほほ笑みます。
一方、会社員を経てイラストレーターとして独立し、結婚を機に山形に移住してきた竹永さんは、移住したからこそ気づいた山形の魅力があったそうです。
「移住する前は、山形といえばさくらんぼのイメージでしたが、移住してみると、農産物直売所にいっぱいの旬の果物や野菜、四季折々の美しい自然や郷土料理、祭り、伝統工芸、温泉などたくさんの魅力に出会いました。この素晴らしい山形の魅力をイラストで表現して発信したいと思ったのです」。
2021年5月、竹永さんは山形をモチーフにしたイラストの個展「いぐべ!山形」を東京で開催しました。
「ご来場のお客さまから、“じゅんさいの収穫体験が楽しそう”、“重機で芋煮を作る日本一の芋煮会フェスティバルにびっくり”など感想をもらいました。個展をきっかけに、山形に興味を持ち、遊びに来てもらえたらいいなと思います」。

◇ありふれた日常のなかにある山形の魅力
「地元の方ほど、山形の魅力を当たり前と感じているかもしれません。」と竹永さんが言います。刺繍作家としても活動する舟山さんが応えます。
「私は小国町の身近な風景の季節の移ろいが大好きです。山々がつやつやの新緑に包まれる春、色鮮やかな花々が咲く夏、紅葉の秋、降り積もる雪でモノトーンの冬。大自然のなかで得た原体験のような感覚は、私の刺繍作品にも生かされています」。
竹永さんがうなずきながら応えます。
「私も山形で得た感覚が、自身のイラストの中に落とし込まれているのを感じます。加えて、都会にはない、人の温かさも実感しています。子どもを連れてスーパーに行くと、他のお客さんが買い物かごをカートに乗せてくれました。日常のちょっとした親切にうれしくなりますね」。

◇山形の良さを伝えたい
「山形にちなんだイラストを小冊子やマスキングテープにしてみました。」と竹永さん。
「かわいい!竹永さんが描くとより一層魅力的ですね。」と小冊子を手にした舟山さんがほほ笑みます。
「今後は山形に密着した仕事を増やしていきたいです。」と話す竹永さんに舟山さんが言葉をつなぎます。
「小国町に移住した方には、自分の得意分野を生かしてスモールビジネスを始める方も多いんです。時間に縛られず、自然を楽しむ暮らしを子どもたちに見せることで、進学などで地元を離れてもいずれ戻りたいと思ってもらえたらうれしいです」。
「心をゆったりとしながら仕事ができるのはいいですね。友人が山形に遊びに来ると、みんな山形のファンになって何度も来てくれるので、移住を勧めています(笑)。」と竹永さん。お二人のように山形を好きになった人たちが磁石のように人を引きつけるのかもしれません。

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