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中山町歴史散策 第211話口誦文芸(3)「瞽女(ごぜ)説地震身上」その3

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山形県中山町

「瞽女説地震身上」の前号の続きです。

祢宜(ねぎの)社家(しゃけ)じゃの神主なども、神のみ末と身は高ぶれど冨をするやらあやぶりかぶき、やましずめて山事斗(とう)り祈祷神楽も銭から極め、それが神慮にかなうかしらんわけで、小憎い医者衆でござる、隣村も馬かかご持(もた)せ、しれぬ病を呑み込み、顔に少し容態悪しと見れば、人にゆずりて己ははずし、匙の先より口先上手、素人だましの手柄を話し、金匡要略傷寒論も、若い時分に習うた斗り、たまに取り出しふぐしてみれは、闇のからすでわからぬ故に、聞かずさわらず薬の数を、たんと飲ませて衣服をかざり、礼の多少で病気扱い、病家見舞も受けむけ立てて、裏家せと家ハ十日に一度、金になるのは毎日四・五度、されば医者衆の掟というのは、銭や金にハかかわるまじく、人を救うハ教へのもとと、道の戒め守らぬ款ハ、欲が深うて文盲故ぞ、あまねく夫(それ)を見習ふて、近頃迠(まで)上下もんで廿四文が通用なるを、何時のほどにか何処の町も、こぞって八文ましたる代り、力いらずに手拍子斗り、少し長いと仲間の憎む

次号に続く

■語句の説明
祢宜:神社で、宮司・権宮司を補佐する職。また、一般に神職の総称。
社家:代々特定の神社の祭祀を世襲してきた家のこと。
神慮:神のみこころ。神の思召し。

※引用…中山町史中巻第10章第3節文芸と美術工芸

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