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深瀬 龍先生の 新型コロナこらむ–番外編–

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山形県大蔵村

●新型コロナのパンフレットの配布による効果
令和元年から始まった新型コロナウイルスの流行と、インターネットの発達によって情報が溢れかえったことにより、うつや不安といったメンタルヘルスの悪化を引き起こしました。そんななか大蔵村では令和2年、新型コロナウイルスの情報をまとめたパンフレットを作成し、全戸配布という形で皆さんにお配りしたことを覚えているでしょうか。パンフレットの作成は当時大蔵村診療所医科医長だった深瀬龍先生が務めました。またこのパンフレットの効果を調査するため、令和3年にアンケートを実施、今年5月にその成果報告書がまとめられました。
その結果、パンフレットを読んだ人は読まない人と比べて、抑うつ症状のリスクが低かったことが明らかになりました。

●調査の対象と方法
山形大学医学部医療政策学講座と大蔵村が協定を結び、令和3年10~12月の期間に16歳以上の大蔵村民2,631人に対してアンケート調査を行い、1,031件の回答を得ました。(返答率39.2%)
メンタルヘルスのうち「抑うつ」「不安」「心理ストレス」について、スクリーニングテストを用いて測定しました。これらの3項目と「パンフレットを読んだかどうか」がどのように関係しているか解析を行いました。

●パンフレットを読んだ人は抑うつ症状のリスクが低かったことが判明
回答のうち有効な974件について解析を行いました。パンフレットを読むことは読まないことと比較して、抑うつのリスクの低さと関係していました。一方、不安·心理ストレスとの関連は見られませんでした。

●結果の解釈
(1)デジタルツールは世代ごとに得意・不得意がある一方で、パンフレットはどの世代にも利用しやすい媒体です。当時新型コロナウイルスへの関心が高かった大蔵村の皆さんが利用しやすいパンフレットを作ったことで、メンタルヘルスの緩和に繋がったと思われます。
(2)不安・ストレスは短期間で自然回復することがわかっています。調査期間が流行の1年後だったので、その時点ですでに回復していたのかもしれません。一方、抑うつは長時間残りやすいため、パンフレットの効果を反映したと思われました。

●結論
役場から配布されたこのパンフレットが村民のうつ予防に有効だったことがわかりました。より詳細な結果は山形大学医学部のプレスリリースをご参照ください。

◆深瀬先生より一言
皆様変わらずお元気にされていますか?大蔵村の皆様にご協力いただいたアンケートを元に研究・論文作成まで無事完成しました。この場を借りてご協力頂いたことに感謝申し上げます。新型コロナウイルス流行の大変さが思い出されると共に、役場、翠明荘、診療所と多くの方に助けてもらいながら当時を乗り切ったことも懐かしく感じております。
本報告が皆様の学びの一助となれば幸いです。
深瀬 龍

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

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