◆気になる!狩猟者の装備とは
・ハンティングベストや帽子は目立つオレンジ色。猟場での人間同士の視認、誤射防止のため着用しています。ブレイズオレンジと呼ばれ、海外における狩猟時にもオレンジ色の衣服の着用が推奨されています。
・山下さんが使用する自動装填式散弾銃。自動装填式銃は、発砲時の反動や火薬の燃焼ガス圧を利用して、空になった薬莢を自動的に排出し、弾倉内の新しい銃弾を送り出します。
・スラッグ銃身用スラッグ弾。威力が強く貫通力も高い。大型獣へ使用する。
・7.0号スラッグ弾実包。散弾銃で撃つことができる一発弾。大型獣へ使用する。
・7.5号散弾実包。発砲した際に大量の細かい粒状の弾丸が散開する。カモや小型獣へ使用。
◆INTERVIEWEE
山下貴幸さん(赤松)
私が初めて狩猟者登録をしたのは2年前でした。当時産業振興課だった三原さんにお酒の席で「いま大蔵村の猟友会員が少ないから、挑戦してみないか?」と誘われたのがきっかけでした。元々アウトドアや山歩き、自然が大好きで狩猟にも興味があったので、赤松地区の若手4名で試験を受け、全員で合格し猟友会にも入会しました。その後は自分で猟をしたり、有害鳥獣駆除の仕事をしたりしています。
猟期には川の近くでカモを捕っています。すでに引退してしまった地元の大先輩にカモがいるポイントや、獣道の場所など色々教えていただいています。一人で山を歩いてもなかなか見つけられない場所などがあるのでとてもありがたいです。大蔵村では巻き狩りなどをする人が今居ないので、いつか挑戦してみたいです。
狩猟をした際は、肉として出来るだけ無駄なく食べることを心がけています。スーパーに並ぶ肉しか見たことがない人と比べて、自分で仕留める、羽をむしる、捌く、というプロセスを踏むことは、食べ物になった動物への感謝につながっていると思います。貴重な体験です。それを知っていると料理として出された肉を「残してしまおう」とはとても思えません。いつか子どもたちにも理解してもらえたらいいなと思っています。
◆INTERVIEW
大蔵村の猟友会、新庄・最上の猟友会の現状
○山形県猟友会最上支部
最上地域の猟友会の会員数は横ばいの状態です。令和5年度は156名、今年の狩猟者登録数は10/21現在160名、さらにこれから4人ほど登録が見込まれています。新規登録者数が今年一番多かった町は真室川町で10名です。辞める方が多い中、新規登録者数も同数程度いらっしゃいます。
山形県猟友会では、各市町村の猟友会の会員に安全に狩猟を行ってもらうために専門の指導員による指導も行っています。個々の射撃能力の向上のため、射撃大会や、初心者講習も開催しています。正しい射撃姿勢、正しい銃の取り扱いなどを指導するのは、すべて安全に狩猟を行ってもらうためです。それが「射撃が上手い」ことにも直結すると考えています。しかし最上地域でも猟銃による事故は過去発生しています。ひとつの事故が地域全体に大きな影響を与えることになるので、やはり銃の取り扱いは正しく行うよう努めてほしいです。指導員が細かな指導を行うことで必要な技術を身に付け、安全に狩猟を行ってもらうためにもぜひ山形県射撃センターへ練習に来てください。スタッフが丁寧に指導します!
○大蔵村猟友会
会長 須藤俊昭さん(烏川)
大蔵村の猟友会には現在11名が入会しており、そのうち9名が猟銃、2名がわなでの猟を行っています。昔は24名くらいの会員がいたと記憶しているので、人数が少なくなって寂しい気持ちもあります。若手が4人も入ってくれたおかげで、組織が急激に若返りました。今いる会員の高齢化は自分を含めて進んでいくので、銃を置く日がくる前に、どうやってウサギを見つけるか、どこにわなを仕掛けるのがいいのか、そうした技術を伝えなくてはならないと思っています。なかなか日程を合わせるのが難しくて。以前は各地区にひとりずつくらいは狩猟をしている人がいましたが、現在はそれに偏りがあるのが課題ですね。もっと多くの人に狩猟に興味を持ってもらい、猟友会に入って活動していただきたいです。
野生動物はどんどん増えて里に下りてきているのに、それを撃つ人間が足りていないのが現状です。日中は仕事をしているひとがほとんどなので、急な要請に応じられる人は限られます。できれば、役場の担当職員や、ほかの職員の人にも免許を取得して対処に当たってもらいたいなあというのが本音でもあります。
今は、免許や銃の取得はもちろん、村から猟友会の射撃大会などの費用に補助金が出されます。以前に比べて金銭的な負担はすこし軽くなっているので、難しく考えず、すこしでも興味があれば挑戦してほしいです。わからないことがあるときは、遠慮なく猟友会の会員や、役場の担当者に聞いてください。一緒に村を守る仲間になれたらうれしいです。
▽県内の狩猟者登録者数の現状
現在、山形県内の狩猟者登録数は令和3年をピークに減少傾向にあります。高齢化のため銃を置く人が増える一方で、新規の狩猟者の増加は著しいとは言えない状況です。またそのなかでも猟友会に入会する人数は狩猟者登録数に対して大きな差がなく推移しています。猟友会に入会せずに、単独または複数人で猟をする人は増えている現状です。データ提供:県エネルギー環境部みどり自然課、山形県猟友会事務局
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