■最上地域の医療の現状
最上地域は、県内4地域の中で高齢化率が最も高い一方で、人口当たりの医師数が最も少ない地域です。
今後、この流れがさらに加速することが予測される中で、最上地域の医療体制をどのように維持していけば良いのでしょうか。
今号では、地域医療をけん引する4名の方と市長との対談を通して地域医療の現状をお知らせします。
※詳細は本紙をご参照ください。
■持続可能な地域医療を目指して 市長×医療関係者×活動団体代表者
人口減少や超高齢化社会の中で、医療体制を維持しながら、医師も住民も安心して暮らせる地域医療をどのように目指していくのか。市長と医療関係者、市民活動団体代表者が話し合いました。
医療監(兼)最上保健所長 山田敬子(やまだけいこ)氏
×
山形県立新庄病院 院長 八戸茂美(はちのへしげみ)氏
×
新庄市長 山科朝則
×
新庄市最上郡医師会 会長 土田秀也(つちだひでや)氏
×
私たちとお医者さんを守る最上の会 会長 阿部彰(あべあきら)氏
《県立新庄病院と地域医療》
◇新病院移転後の変化
八戸院長 移転改築時の大きな変化は診療科が増えたことです。これはひとえに山形大学さんの尽力のたまものです。腎臓内科、糖尿病・内分泌内科、緩和ケア内科、精神科・心療内科、歯科、リハビリテーション科が新設されました。このうち、精神科・心療内科、歯科の対象は主に入院患者さんです。
診療科が増えたことで専門性が高まり、診療体制が強化されました。また、さまざまな患者の受け入れが可能となり、外来の患者数も移転改築前に比べて増加しました。
◇総合患者サポートセンターの特徴と機能
八戸院長 移転改築に伴い新設された「総合患者サポートセンター」では、力を入れている業務は大きく3つあります。一つ目は入退院支援業務で、入退院の際の薬剤管理や栄養指導なども行っています。二つ目は相談業務で、医療・福祉に関する相談やがんの相談に対応しています。三つ目は、※@(あっと)ほーむもがみを中心にした地域連携業務です。ここでは、かかりつけ医と医療・介護従事者との連携を図るために、医療介護の関係職種との研修会の開催、在宅医療環境の構築支援などを実施しています。さらに、保健所のサテライト機能として、難病などに関する申請手続きのサポートをしています。総じて、病院の支援体制強化につながっていると感じています。
※@(あっと)ほーむもがみ…最上地域を対象に、医療・介護従事者からの相談受け付けや、地域住民への普及啓発を行っている。
◇夜間休日診療の機能移転と地域連携
山科市長 迅速な救急医療をより幅広く提供してもらえるというのは、住民にとって安心できることだと思います。夜間休日診療機能については、医師会ではいかがお考えでしょうか。
土田会長 もともと新庄市夜間休日診療所は、新庄病院の医師や看護師の負担軽減を目的に設置されました。今回、地域救命救急センター内に機能が移転されましたが、その点については医師会として一番強く要望したことです。
理由としては、患者さんの利便性向上はもちろん、新庄病院の医師と開業医がなかなか接点を持てない状況にあったからです。二つの機能が一緒になったことで、我々開業医と、新庄病院の医師の方々とで、より密接に連携することが可能になりました。
八戸院長 医師会の先生方からは病院医師の負担軽減ということで、ご協力をいただいています。医師会の先生方から応援していただいている、平日夜7時から9時までの夜間休日診療の状況ですが、この時間帯の一日平均患者数は増加せずに済んでいます。これも啓発してくださっている効果ではないでしょうか。
山科市長 新庄病院内に、地域救命救急センターと夜間休日診療機能の両方があるメリットについて、阿部会長はいかがお考えですか。
阿部会長 前に一度、受診したことがあります。日曜日に行きましたが、最初に※トリアージがあり、その結果、夜間休日の方で処置をしてもらいました。患者目線で言いますと、これまでですと救急に行くか診療所に行くか、迷うこともありました。しかし、機能が集約されたことで、非常に安心して受診できるようになりました。
※トリアージ…傷病者の緊急度や重症度に応じて適切な処置や搬送を行うために、治療の優先順位を決めること。
山科市長 CTやMRIなどの医療機器による検査が必要となった場合は、医師会の先生方の判断で検査をしてもらうことも可能ですね。
土田会長 トリアージの時点で新庄病院の先生につないでもらっていますが、検査機器があることで非常に心強く感じています。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>