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住人十色 (じゅうにんといろ)

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山形県朝日町

■いろんな米を食べたい!作りたい! 遠藤牧人(まきと)さん(大町)
今回は、昨年4月に朝日町に移住し、古代米など希少な米を有機栽培で作り始めた遠藤牧人さんを紹介します。町内の廃校で大学生とイベントなどを行ってきた遠藤さんは、稲作は初めて挑戦するとのこと。栽培に至った経緯や作業の様子などを取材しました。

◇なぜ古代米を有機栽培で?
かつて、日本の農家は自慢の種もみを自家採取して受け継ぎ、独自の米を作っていました。しかし近年では、たいがいの農家が大量に購入した同じ苗を作付けして、元が取れないような価格で出荷せざるを得ない状況にあります。そして、棚田は少量生産に向いているため価格競争には乗れません。それらを踏まえたうえで、自分が本当に食べたくて作りたい米だけを、種もみから作ることにしました。
私は、上郷地区花畑の棚田米を16年間玄米で食べ続けています。そのこともあって糠(ぬか)までおいしい、米本来の味を持つ古代米に魅せられました。「食と農」は私の生き方そのもの。有機栽培を選択したことも、自然の循環を意識した栽培をしたかったからです。

◇植えた古代米の品種は?
上郷地区花畑の棚田は、かつて学生ともどもお世話になり、棚田学会も開催させてもらった、私の人生の転機になった棚田です。その10aほどの棚田に、「黒米」を中心に植えました。一部には、約50種類の古代米がブレンドされた「いろいろ米」の生産者として知られている上野長一さんから、種もみを分けてもらい混植してみました。
実ってくると、景色はまるで田んぼの中の雑木林。その場にいるだけで懐かしさを覚えましたね。
また、同じ田んぼには私の大好物の有機栽培好適米「ササニシキ」も植えたことで、超多品種で、極少量の生産へとつながりました。還暦を過ぎてから始めた農業なので、一年一年濃密な体験を積むために、先輩農家のご指導のもと考えた、私なりの手法です。

◇実際に稲作を経験して感じたことは?
黒米は6〜7割がイノシシの被害を受けてしまいました。来年は柵と植え方を工夫します。いろいろ米は収穫時期が10月中旬と遅く、もみすりもなかなかうまくいかず大変でした。唯一、ササニシキは予想以上の収穫で驚いています。
また、田んぼ一面に「コナギ」という雑草が大量発生し、バインダーが絡まって稲刈りが困難でした。雑草退治は最初が肝心。来年は田植え直後に徹底的に除草し、稲刈り前に田んぼを乾燥させます。実は、コナギもおいしく食べられるのです。先輩農家の皆様、熱血ご指導とお手伝い、本当にありがとうございました。

◇今後の展望は?
百姓一年生の今年は、先輩方に多大なご指導と物心両面の支援をいただき、感謝の言葉が見つかりません。それにもかかわらず、十分なお礼ができませんでした。「自立と省力化」が喫緊最大の課題です。
県内外には大規模な有機栽培に取り組んでいる事例があり、大型機械で省力化して7〜8ha耕作している農家もあります。
子どもたちの未来を考え、多様性に富む、安全でおいしい米を作っていきたいですね。千葉県いすみ市の学校給食は全量、有機栽培米です。私の米も近い将来、学校給食で食べてもらえるように頑張っていきます。

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