■本当に進むべき人類の未来
~多様な感性を尊重した世界の中から~
同じ地球上に住んでいる私たちは、そのほとんどが同じような境遇にあるかと言えばそうではありません。一人ひとり生きている場所や環境によって、考え方も感情もそして思いも千差万別であります。
世界中を駆け巡る大きな事件や状況。一見私たちとはかけ離れた世界で起きている事柄かと思われがちでありますが、今を生きる私たちにも必ず何かしらの影響が及んでいるのも事実であります。
全世界を覆ったコロナ禍も、4年の歳月を経て、人々の行動も制約された窮屈さから解き放たれ、次第に日常の生活に戻って来ました。
一方なかなか改善に至らず未だに続く地球温暖化による自然環境の悲鳴は、そのまま大規模な災害となって、私たち自身の日常生活に深い影を落としています。
依然として続くロシアによるウクライナ侵攻。全世界に報道されたその映像から、強い憤りと怒りや慰みといった決してプラスに転化されることのない戦争の悲惨さを、これでもかと言わんばかりに私たちの眼前に押し付けられてきました。さらに中東ガザ地区におけるイスラエルとハマスによるいつ果てるともない戦争という破壊活動。目を覆うばかりの惨状が重く全世界の人びとを覆い尽くした一年でありました。
昔、学生の頃、同じ被写体である静物を描く美術の時間に、よく思ったことがあります。「同じものを見て同じように描いているのに、一人ひとりの絵がどうしてこうも違う絵になってしまうのか」と。それは写真にしてもそうですし、文章にしてもそうです。むしろ一人ひとりが違った感性を持っているのが自然であるし、本来あるべき姿かと思われます。
世界が狭く小さく感じられるようになってきている現在、私たち一人ひとりの目を通した多様な感性を尊重した世界の中から、本当に進むべき人類の未来を見つめていきたいと思う年の瀬であります。
朝日町長 鈴木浩幸
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