■課題に合わせた開催
これまで別々に開催してきた双方の文化祭は近年、少子化や人口減少により、それぞれ課題に直面していました。中学校の視点では〝1学年1学級化に伴い合唱コンクールをどう開催していくか〟芸文祭を主催する町芸術文化協議会(以降、「芸文協」)の視点では〝会員の減少に伴い発表者・参観者が減少する中でどう盛り上げていくか〟などです。特に後者については、将来的に地域芸能・文化活動の維持、発展に直結することから、今後の持ち方は町全体の活性化にもつながる大きな課題にもなっていました。
こうした状況の中で実施された今回の合同開催。その効果と意義について、町教育委員会の堀俊一教育長にお話を伺いました。
◆あさひ未来学園へつなげる
「合同開催ができれば、中学校と芸文協、双方の課題解決につながり、町全体に好影響をもたらせるはず。必ず実現させたい」提案を聞いたとき、こう直感しました。
近隣市町では例のない、初めての試み。中学校、芸文協、そして教育委員会事務局の三者がプログラム構成からステージ運営、展示企画までさまざまな協議を重ね、成功裏に終えることができました。
その中でも、特に大きな効果を感じたのが芸能学習の成果発表です。
地域の皆さんを講師に文化・芸能活動を学ぶこの課程は、これまで発表の場が中学校の文化祭であったため、参観者が保護者に限られていました。創遊館で開催した今回は、日頃学校との関わりが少ないと思われる年代の方のほか、中学生の兄弟姉妹である卒業生の姿もあり、学校と地域の一体感とともに、幅広い年代の交流が生まれていることを実感しました。
4年後に開校予定の「あさひ未来学園」では学校施設を積極的に地域に開放し、「地域の子どもと大人が互いに学び合う学校」を目指しています。今回の合同文化祭はまさにその先進的な取り組み。今後も継続し、開校への機運を高めていきたいと思います。
○芸能発表会(11月3日/創遊館)
○移動芸能発表会(11月3日/西部公民館)
○お茶会(11月3日/創遊館・西部公民館・秋葉山交遊館)
交富の会、交代の会
○展示(11月2・3日/創遊館・西部公民館・秋葉山交遊館)
・書道…真墨会朝日支部、朝日書道研究会
・華道…香風会(閑渕流)、池坊研究会、華京の会(池坊)、宗富の会(池坊)
・文学…文芸サークル「たむしば」
・美術…絵画好会
・園芸…朝日盆栽園芸愛好会
・総合…あさひ十人展、西部・北部地区芸術文化愛好者、町内の保育園・学校に通う子どもたち
■未来へつなごう われらの文化
最後に、合同開催の効果について芸文協の安藤直良会長にお話を伺いしました。
今回、生徒の皆さんが参加してくれたことで会場はほぼ満席で最後まで盛り上がりました。芸文協初代会長である故阿部宗一郎さんの「町民の文化活動の環境を整えるとともに、広くその活動を知ってもらおう」という考えをきっかけに、昭和40年から開催され続けている芸文祭。1年間の頑張りの成果を披露する場であるため、来場者数はさほど気にしていませんでした。しかし、やはり多くの方に発表を見てもらえることは良い刺激になりますね。そして生徒の皆さんによる堂々とした発表は、来場者の方々に元気を与えたように思います。会員の皆さんからも「にぎやかで良かった、楽しかった」といった声がありました。
60回を迎えるにあたり、会員の皆さんに工夫を凝らして準備していただいた節目を祝う特別な発表を、多くの方々にご覧いただけて非常に感謝しています。
子どもたちと協力した開催は、他市町村の協議会の方々からも多くの関心の声が寄せられました。開催を盛り上げることはもちろん、私たち会員の張り合いが出るといった点でも、ぜひこれからも同様の形で開催していきたいですね。
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