■Part.2 得意分野で町ににぎわいを
にぎわい創出推進員と鈴木浩幸町長
◆木工で広げる、伝える
今野:1年目は松本亭一農舎(以降、「松本亭」)関係の仕事を中心にこなしながら、近所の西松屋菓子店さんをはじめ町内のいろんなお店に行って顔を知ってもらうことに努めました。今年は木工を通した活動も充実していて、新宅(すんたく)今井家「宿(しゅく)のやかた」で開催された「すんたく市」や産業まつりなどのイベントにも、町民の方からご提供いただいたリンゴの木などを使った作品で出店させていただきました。知り合いの方が来てくれたり、そこで知り合ったりと顔も覚えてもらえるようになり、町になじんできたように思っています。
町長:70周年記念式典で表彰者に渡す賞状の額縁も西山杉(西村山地域で産出される杉材)を使って作ってもらいましたよね。必要な知識は大学で学んだのですか。
今野:大学では地域コミュニティを専攻していたため木工はほぼ独学です。木工が得意な町民の方からも作業のノウハウを教えてもらい、勉強と実践を重ねています。今年も空気まつりや緑の少年団の活動を通じ、西山杉の活用にも取り組ませてもらいました。また、2年目となる今年は文化教室や小学校の学年行事などで講師を頼まれるようにもなりました。今後は松本亭でのワークショップが開催できるように頑張ります。
佐藤:今野君の木工作業は松本亭の敷地内の小屋で行ってもらっています。大学でほとんど学ばなかったにも関わらず、2年間で実になったのは今野君の意欲があってこそだと思います。また、地域の木材を活用した物づくりは地域の魅力発信にも、子どもたちの地域への愛着心にもつながっているはずです。
◆イベントでにぎわいづくり
工藤:自分は、地域のさまざまな行事に参加させてもらいながら、松本亭のことをより広く知ってもらおうと活動してきました。具体的にはまず、松本亭公式Instagramの開設です。松本亭の紹介のほかに、田岡さん、今野君、自分の日々の活動などを紹介しており、親しみやすく思ってもらえるような内容にしています。また、駐車場にてサウナイベントを開催しました。こちらは松本亭の新たな魅力を感じられるイベントとして、阿部工務店さんにご協力いただき開催したものです。当日は多くの町民の方に足を運んでもらいました。サウナイベントは独自の活動としても取り組んでいて、友人とともに「SAund's」という団体を立ち上げ活動しています。10月13日には朝日川河川公園で開催し、県内外から参加いただきました。
佐藤:工藤君は直接町のにぎわいづくりに働きかけていて、イベントに限らず町外から人を呼んでくれています。協力隊は、自分の活動地域だけに意識が行きがちになるのですが、工藤君は最初から町外との関係を築いています。
町長:朝日川河川公園ではどのようなことを行ったのですか。
工藤:サウナと音楽、軽食を個々人で楽しんでいただきました。今回はアップル町民駅伝と開催日が重なったこともあり、町内でのPRが足りなかったので、来年は春先に開催して、より多くの町民の皆さんから参加いただきたいです。協力隊でもプライベートでも、引き続き地域の方々から協力を得ながら、地域のにぎわいにつながる活動を行いたいです。
○にぎわい創出推進員
主な任務:松本亭一農舎を拠点としたイベントの企画・運営など
工藤大輔 隊員
着任年月:令和6年4月
これまでの主な取組み:
・松本亭一農舎の管理・運営
・サウナイベントの開催 など
今野颯 隊員
着任年月:令和5年4月
これまでの主な取組み:
・松本亭一農舎の管理・運営
・木工のワークショップ実施 など
■Part.3 学んで感じる農業の魅力
りんごの郷の担い手と鈴木浩幸町長
◆農業って、面白い
桑山:前職では携帯システムの維持管理を行っていて、農業に触れる機会はほぼありませんでした。そのため指導いただいている農家さんには、脚立や機械の使い方など基本的なことから教えていただいています。学んでいくほど、前職とつながる点があるように感じています。
町長:具体的にどのような点がつながっているように感じますか。
桑山:自分が作業しやすいよう、またきちんと結果が実るように、作業の工程を考えていくといった点です。
町長:実際に農業に携わってみてどうですか。
桑山:基本的なこともまだ分かっていませんが楽しいです。また、前職は基本的にデスクでこなしていたため、実際に機械を動かすことは新鮮ですし、土を耕すとふかふかになる様子は面白いです。休憩時間にりんごの味の違いを教えてもらっているのですが、どれもおいしくて違いが分からないことが悩みですね。「これはダメだな」と言われても、食べてみるとおいしいので、どう反応したら良いのか考えてしまいます。
町長:農業の大変さを知る一方で、楽しさや魅力が分からないまま農業と距離を置く方も結構いらっしゃると思うので、ぜひそのことも活動とともに発信してほしいですね。
◆担い手を増やし魅力を広げるには
町長:りんごの郷の担い手は、農業に関心をもっていただくために、応募する際は事前に1週間の農業体験をしていただいています。桑山さんとしてはどうすると就農へのハードルが下がると思いますか。
桑山:事前体験はハードルも下がるし、自分が農業に合うか合わないかも実際に感じられるので良いと思います。また、最初から条件を多く設けすぎない方が良いかもしれません。任期終了後の定着を考えると、厳選することも大切かもしれませんが、条件を緩くすることで応募もしやすくなり「想像よりも楽しいし、意外と合う」と関心を持つ方も見つかりやすいのではないでしょうか。ほかには、作業の魅力を知ってもらうことも農業を身近に感じやすくなると思います。私は現在、仕事を覚える一方で農林大学校に通い、販売方法などを学んでいます。すぐにその学びを生かすことは難しいので、まずは先輩方の取組みをこなせるように活動し、今後はイベントの開催や販売方法の工夫などについて考え、農業や町産物の魅力発信に努めていきたいですね。
○りんごの郷の担い手
主な任務:りんごを中心とした農作物の生産にかかる技術の習得、農業に関する課題の解決など
桑山洋典 隊員
着任年月:令和6年4月
これまでの主な取組み:
・町内の農家での農業研修
<この記事についてアンケートにご協力ください。>