特集 小さな変化と生きていく(2)

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■早期発見は身近な人で　サポートはみんなで
認知症に気付くポイントや進行を緩和させる方法について、町認知症サポート医で、町立病院院長の小林達さんにお話をお聞きしました。

◆約6人に1人が認知症
「アルツハイマー型認知症」をはじめ「レビー小体型認知症」「血管性認知症」など、認知症には多くの種類があり、65歳以上の約6人に1人が認知症になっています。この中でもアルツハイマー型が圧倒的に多く、約60%を占めています。
主な原因は、異常なタンパク質が脳に蓄積し脳神経細胞が減少するためと考えられています。また、認知症と似たような症状を呈する病患として「正常圧水頭症」「慢性硬膜下血腫」「甲状腺機能低下症」「ビタミンB2欠乏症」などがあり、これらは“治る認知症”といわれています。これらを鑑別することが重要です。

◆進行をいかに遅らせられるか
認知症はゆっくりと進行し、病期は初期・中期・末期に分けられます。末期になると身体機能も低下し、誤嚥性肺炎を繰り返し死に至ります。そしてこの間は約5～15年になります。認知症は老化のせいでなるわけではなく、病気であることを理解しましょう。
治療には薬物治療と非薬物療法がありますが、これらをうまく活用することで、治すことは困難でも進行を遅らせることは可能です。

◆家族の気付きが第一歩
認知症を発症すると、時間(季節)や場所、人の顔を覚えられなくなります。初期症状では「薬を決められたとおり服用することができない」など、今までできていたことができなくなり、生活に支障をきたすようになります。ほかにも、何度も同じことを聞いたり、鍋を焦がしたりなどの本人の自覚がない物忘れの症状が見られます。
そして本人には自覚がないため、ご家族の気付きが早期発見へとつながります。早期発見し、早期に治療を開始することで、進行を遅らせることが可能になります。

◆本人の立場に立って寄り添う
認知症は「何も分からなくなる」といったイメージを持たれることがよくありますが、全部分からなくなることはありません。記憶はなくなっても感情は残るといわれています。きつく叱ったり子ども扱いしたりと、本人の尊厳が傷つく行動を避けましょう。
また、本人ができることや興味をもっていることはなるべくさせてあげた方が良いと思います。ほかにも、家に閉じ込もって孤立させないように、なるべく外に出て家族以外の人や地域社会との接触を図ることも進行を遅らせることに効果的です。
そしてサポートの際は、本人が悪いわけではないことを理解しましょう。認知症による徘徊や物盗られ妄想などの行動も全て認知症の症状の一つで、本人にとっては意味のある行動なのです。認知症という病気を理解して受け入れ、家庭の中に居場所を作ってあげることが重要です。

◆まずはご相談を
認知症の介護は大変です。初期のうちから介護保険の認定を受けてデイサービスを受けたり、中期に周辺症状が悪化し介護負担が増大したりしたときは、グループホームへの入所を考えることも必要です。
また、町立病院では介護保険で利用できる通所リハビリとして、小学生が使っている学習ドリルや簡単な工作など、頭と体を使うことに取り組んでいただいています。
まずは地域包括支援センターやかかりつけ医などへ相談しましょう。

○チェックしてみよう　長谷川式認知症スケール
下の表は、病院で認知症の診断の際に使用される「長谷川式認知症スケール」です。
回答による合計点数が30点満点中20点以下の場合は認知症の可能性がありますので、一度地域包括支援センター、またはかかりつけ医に相談してみましょう。

認知症の予防には、頭と体を使うことが効果的だよ。
具体的には、ゴルフなどの体に負荷がかかりすぎないスポーツや麻雀、パズル、手芸など…。ご近所さんとの会話も脳の活性化につながるよ。生活習慣病が原因で発症する認知症もあるから、健康にも気を付けよう。

■それぞれの視点でサポートを　あさひオレンジチーム
町では、認知症が疑われる本人やその家族から相談があった際、受診や適切な介護サービスにつなげるためにチーム員が協議し、ご自宅に訪問したりする「あさひオレンジチーム」を組織しています。
チームには医療機関や認知症の専門職員、地域包括支援センター職員などが加入しています。

■山形県の認知症相談・交流拠点　さくらんぼカフェ
山形県では、認知症にかかった本人やその家族が気軽に相談・交流できる「さくらんぼカフェ」を開いています。
若年性認知症支援コーディネーター※も常駐しています。
開催日時：平日　正午～午後4時
会場：山形市小白川町2-3-30　山形県小白川庁舎2階

※若年性認知症支援コーディネーター
若年性認知症の人やその家族からの相談に応じ、さまざまな支援を提供する専門家。
状況に応じて、その人に合った適切で必要なサービスの情報を提供します。

問合せ先：やまがた認知症コールセンター
【電話】023-687-0387