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自治体の皆さまへ

町立金山診療所だより ほっとクリニックvol.173

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山形県金山町

理学療法士 加藤 良

■飲み込む機能も老化する~運動で嚥下(えんげ)を予防しよう~
○はじめに
赤ちゃんは、生まれる前から母親の胎内で羊水を飲んで、飲み込む練習をしています。そして、生まれてからは手足をバタバタと動かして、筋肉を発達させます。運動機能が備わってくると、なんでも口に持っていき、食べられるものとそうでないもの、食感や味、匂いを学習していきます。このように、食事は人間の本能であり、食事は健康維持の三要素の一つに位置付けられています。飲み込むという動作は、医学用語で「嚥下(えんげ)」といいます。嚥下機能は、加齢によって衰え、誤って気管に入ってしまうと窒息や誤嚥性肺炎を発症してしまう恐れがあります。そして、食事を困難にする嚥下障害は、食べる楽しみさえ奪ってしまいます。

○嚥下障害の対処法
嚥下障害の原因は、がんによって口や喉の通りが悪くなるなどの器質的な要因や脳卒中によって口や喉の麻痺による機能的要因、認知症なども要因となりうることがあります。このように嚥下障害をもたらしている原因がはっきり分かっていれば、治療することが先決です。
そして、前述したように嚥下機能は加齢によって衰えます。衰えたサインとして一番気がつきやすいのは「むせ」です。気管に入り込もうとするときに、危険信号としてむせ込みが見られます。二つ目に、食事時間の延長です。加齢により唾液の減少や舌や喉の筋肉の衰えによって、噛んで飲み込むまでに時間がかかるようになります。三つ目に食事後の声の変化です。食べ物がのどに残っている状態では、声がガラガラとした状態になります。
○嚥下障害を予防するには筋力維持が有効
年だからと食事を楽しむことを諦めてはいけません。飲み込むときに必要な筋力は鍛えることができます。今回は、短時間で自宅でもできる運動の一つをお伝えします。特に日常的むせやすい人やのどに残った感じがする人に有効です。

○嚥下おでこ体操
(1)おでこに手の付け根を当て、手とおでこで押し合う。
(2)へそをのぞき込むようにおでこを下方向に向ける。
(3)のど周辺に力が入ることを確認し、5秒キープする。これを10回繰り返す。
注意点…運動によって血圧が高くなる可能性があるので、不安な方は医療機関にご相談ください。

[協力]山形県言語聴覚士協会

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