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町立金山診療所だより ほっとクリニックvol.178

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山形県金山町

町立金山診療所 小児科 医師 藤山純一

■「おねしょ」について
今回は「おねしょ」(夜尿症)についてのお話です。夜尿症は、5歳を過ぎても睡眠中に尿をもらしてしまうことが月に1回以上、3ヶ月以上続く場合をいいます。幼児にはよくあることで、軽い場合まで含めると5歳で25%、6歳で20%、10歳で5%、15歳で1%位といわれますが、恥ずかしくて相談できない人もいて、実際はもっと多いと考えられます。多くは自然に治まり、男児で12-14歳、女児で10-12歳頃までといわれています。原因となる病気のない場合がほとんどですが、先天性の腎・尿路奇形、二分脊椎、尿崩症、糖尿病、慢性腎不全などの病気が原因であったり、慢性便秘、睡眠障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合は頻度が高いといわれています。そのため、詳しくお話をうかがい、こまかく診察し、必要に応じて血液、尿、X線検査などを行います。対策の第1は生活指導です。(1)夕食は睡眠の2時間前までに済ませる。(2)夕食後は水分をなるべく飲まない。(3)食事の塩分をひかえる。(4)睡眠前にかならずおしっこを済ませ、夜間は起こさない。(5)夜尿の有無の記録をつける。(6)便秘をなくす。これらの生活指導を3ヶ月くらい続けても改善が見られない場合は6歳以上で治療を考えます。治療のひとつめは薬物療法で、尿量を抑えるデスモプレシン舌下錠を使います。食後2時間以上、眠る30分前までに、舌の下で溶かして水を使わずに飲みます。1ヶ月使用して効果がなければ増量します。また、それでも効果がなければ、膀胱筋の活動を抑える抗コリン剤、精神疾患の関与がある場合は三環系抗うつ剤なども考えます。もうひとつの治療はアラーム療法です。下着に付けたセンサーが漏れ始めの尿を感知してアラームを鳴らし、目覚めたところでトイレで排尿させる方法で、無意識に漏らしてしまうことを減らすのが目的です。治療に手間と日数がかかること、装具が自費であることなどから、本人と親に意欲がある場合にお薦めです。おねしょはこれらの治療を行った場合、その60-70%は1年から1年半で治癒するといわれています。恥ずかしいことと思わずに気軽に相談してください。

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