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自治体の皆さまへ

町立金山診療所だより ほっとクリニックvol.181

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山形県金山町

山形県立中央病院 脳神経外科 医師 瀬尾 恭一

■医師の働き方改革および今後の医療形態について
金山町の皆様お久しぶりです。常勤医だった2019年3月以来の原稿依頼で久しぶりに執筆させていただいています。さて、今回は本年4月から始まる医師の働き方改革について書きたいと思います。
厚労省の調査では勤務医の4割が80時間/月以上、約1割は160時間/月を超えて時間外労働を行っている実態があります。こうした長時間労働により医療ミスや医師自身の健康が損なわれる懸念や、中長期的には医療の質や安全確保、人材確保の面などから持続可能な医療提供体制の維持に支障が生じる可能性があります。今回の働き方改革では、勤務医の時間勤務時間は原則80時間/月以内とすることになっています。しかし、これまで通りのやり方では残業時間を劇的に減らすことはできません。近年医療現場では、コメディカルスタッフが医師の業務の一部を引き受けるタスクシフト・シェアや、複数の医師が1人の患者を担当する複数主治医制の導入が進められています。業務負担を分散させつつ複数の医師の目線で関与すること、あるいは各職種がそれぞれの専門性と能力を最大限発揮することで質の高い医療提供が可能となります。また、地域住民の皆様のご協力も不可欠です。例えば、緊急性・重症性の低い症状で時間外受診するいわゆるコンビニ受診を控え、治療方針や病状の説明などは平日の診療時間内に行ってもらうことで、医師の時間外労働を減らすことができます。また、とりあえず大きな病院の方が安心だから大きな病院に行くというのではなく、軽症時や普段の基礎疾患管理目的では地元の医療機関を受診するなど、各医療機関の役割に合わせた受診の仕方も重要です。金山町では医療機関が診療所しかなく、県立新庄病院への依存度も高いと考えられます。各医療機関の役割を理解し、例えば通院する足としての公共交通機関をどうするのか、行政側の協力も必須です。従来と比べると地元の医療規模が縮小され、複数の医療機関を受診しなければならなく不便に感じるかもしれませんが、これらのことにより、地域医療の安全を確保し、持続可能な医療体制が構築され、最終的に地域医療の発展に寄与して、患者さん自身もよりよい医療提供を受けることができるようになるのです。地域医療を守るためにも地域住民の皆さん1人1人のご理解とご協力が必要です。よろしくお願いします。

※町公式ホームページでは、毎月の外来担当医を掲載しています。
ぜひご活用ください。

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